▼ それでもボクはやってない-日本の刑事裁判、まだまだ疑問あり
けさたまたまフジで「めざましテレビ」をぼーっと視ていたら「中野美奈子の広人苑II」で痴漢冤罪をテーマにした周防正行監督の「それでもボクはやってない」(映画のネタバレレビューはコチラ)で主演した加瀬亮さんを取り上げてました。
加瀬さんのことは一気に気になりだしているのですが、これは運命かも…などと思いながら10分ちょっとのコーナーを見て、この本を買いました。「広人苑」はスカパーのフジ721でコンプリートバージョンも放送があるので、録画しようw
それでもボクはやってない-日本の刑事裁判、まだまだ疑問あり!。
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買おうと思った直接のきっかけは、映画のなかで印象に残るシーンが実は加瀬さんのアドリブで、それを監督が気に入って使うことにしたためだったのですが相当緻密に痴漢冤罪や刑事裁判、司法制度について調べた周防監督が何を言いたかったのか、ということが知りたくなったためです。
以下映画のネタバレになりますので読む方は注意してください。
加瀬さんのことは一気に気になりだしているのですが、これは運命かも…などと思いながら10分ちょっとのコーナーを見て、この本を買いました。「広人苑」はスカパーのフジ721でコンプリートバージョンも放送があるので、録画しようw

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買おうと思った直接のきっかけは、映画のなかで印象に残るシーンが実は加瀬さんのアドリブで、それを監督が気に入って使うことにしたためだったのですが相当緻密に痴漢冤罪や刑事裁判、司法制度について調べた周防監督が何を言いたかったのか、ということが知りたくなったためです。
以下映画のネタバレになりますので読む方は注意してください。
一度ざっと目を通したのですが、久しぶりに司法/法律の専門用語がたくさん出てきたため、もう一度しっかり読もうと思っています。それくらい、語られてる話の内容は実は難解なので一般の人には実は意外と向かない本かな、とも感じました。
本の構成は前半(ほぼ半分)はシナリオの再録、後半は周防監督と元裁判官の方の対談を中心に、なぜあの映画がああいう構成になったのか、撮影したけど落とすことにした場面はどんなものがあって、そしてその理由はなぜか、といったことが書かれてありました。
きょうの「広人苑」で明かされていたのは、通話口越しに話す弁護士の須藤(瀬戸朝香)がアリバイも、目撃者もいない状況で「やってない」ことを証明するのが難しいと説明すると、主人公の徹平(加瀬亮)が
「それを何とかするのが弁護士の仕事だろ!」
と言います。裁判や法律の知識がなかったらこういう台詞を言いそうだよなぁ、とストンと落ちた場面でした。これが実は加瀬さんのアドリブで「瀬戸さんが本当に軽蔑したような目で僕を見るので、その台詞が出てきた」と説明。スゴイ~。
実際は法律上も、法解釈上も「不存在」を訴えるのは「存在」を訴えるよりも何倍も難しいんですよね…。
あと分かりやすいところでいくと、予告編では法廷で徹平がどこかに飛び上がっているような場面が短く入っていたのですがそんなシーンは本編中にはなく、実際は法廷で被告人がそんなことをするなんて不可能なので、一体…と思っていました。
で、これは撮影したけど使わなかった場面で、有罪を言い渡された徹平が裁判長(小日向文世)のところまで行って、手に持った刃物で自殺を図り、裁判長が血まみれになる---という夢を須藤が見る、ということだったらしいです。
最近は裁判所に足を運ぶこともあまりなくなりましたが、東京地裁なら金属探知機などを通さないと中に入れないように映画の中で再現されていたのでそういうことは不可能だとは思いましたが、ちなみに地方に行くと、地裁ならするするっと中に入れて法廷までたどりつけるところがほとんどだと思います。
個人的には、取り調べをした検察官(副検事=北見敏之)と法廷にいた検察官(検事=尾美としのり)がなんで別なんだよ、とかそういうところも実は制度的にわかりにくいから説明があったほうがよかったんじゃないかな、と感じていました。
周防監督としては3時間を超えるような作品はつくりたくなかったそうで、このためいくつか落としたシーンの中に、この点について説明するところもあったそうです。
ブログを巡ってこの映画のレビューをいくつか見ると、最後に裁判長が有罪を言い渡したことに衝撃を受けた人が多かったのが別の意味で衝撃でした。私はたぶん有罪だろうと思いながら最初から観てました。そういう意味での驚きはなかったし、逆にブログを巡ってみて、普通の人たちは裁判官はホントに公正で、間違った判決を出したりしないというふうにとらえているんだなぁ、と痛感した次第で。
ことし、衆議院の選挙があるかないかわかりませんが、衆議院議員の選挙をするときに、最高裁判所判事の「国民審査」というのがあります。選挙戦の中盤から後半にかけて、最近は新聞によっては判事のプロフィールや、関わった主な裁判や判決について記載するところも出てきましたが、この映画を観た人だったら、きっとこの国民審査についても今までよりも慎重になるんじゃないかな、と思っています。
もう少し厳しい国民の目が裁判所に向けられないといけないような、そんな気がしたとりあえずの読後感でした。
【追記】
この本買うまではなぁ、という方はぜひこちらをどうぞ。
周防監督や加瀬亮さんの長めのインタビューのほか、傍聴を生業としている方のレビューなど、盛りだくさんの内容です。
本の構成は前半(ほぼ半分)はシナリオの再録、後半は周防監督と元裁判官の方の対談を中心に、なぜあの映画がああいう構成になったのか、撮影したけど落とすことにした場面はどんなものがあって、そしてその理由はなぜか、といったことが書かれてありました。
きょうの「広人苑」で明かされていたのは、通話口越しに話す弁護士の須藤(瀬戸朝香)がアリバイも、目撃者もいない状況で「やってない」ことを証明するのが難しいと説明すると、主人公の徹平(加瀬亮)が
「それを何とかするのが弁護士の仕事だろ!」
と言います。裁判や法律の知識がなかったらこういう台詞を言いそうだよなぁ、とストンと落ちた場面でした。これが実は加瀬さんのアドリブで「瀬戸さんが本当に軽蔑したような目で僕を見るので、その台詞が出てきた」と説明。スゴイ~。
実際は法律上も、法解釈上も「不存在」を訴えるのは「存在」を訴えるよりも何倍も難しいんですよね…。
あと分かりやすいところでいくと、予告編では法廷で徹平がどこかに飛び上がっているような場面が短く入っていたのですがそんなシーンは本編中にはなく、実際は法廷で被告人がそんなことをするなんて不可能なので、一体…と思っていました。
で、これは撮影したけど使わなかった場面で、有罪を言い渡された徹平が裁判長(小日向文世)のところまで行って、手に持った刃物で自殺を図り、裁判長が血まみれになる---という夢を須藤が見る、ということだったらしいです。
最近は裁判所に足を運ぶこともあまりなくなりましたが、東京地裁なら金属探知機などを通さないと中に入れないように映画の中で再現されていたのでそういうことは不可能だとは思いましたが、ちなみに地方に行くと、地裁ならするするっと中に入れて法廷までたどりつけるところがほとんどだと思います。
個人的には、取り調べをした検察官(副検事=北見敏之)と法廷にいた検察官(検事=尾美としのり)がなんで別なんだよ、とかそういうところも実は制度的にわかりにくいから説明があったほうがよかったんじゃないかな、と感じていました。
周防監督としては3時間を超えるような作品はつくりたくなかったそうで、このためいくつか落としたシーンの中に、この点について説明するところもあったそうです。
ブログを巡ってこの映画のレビューをいくつか見ると、最後に裁判長が有罪を言い渡したことに衝撃を受けた人が多かったのが別の意味で衝撃でした。私はたぶん有罪だろうと思いながら最初から観てました。そういう意味での驚きはなかったし、逆にブログを巡ってみて、普通の人たちは裁判官はホントに公正で、間違った判決を出したりしないというふうにとらえているんだなぁ、と痛感した次第で。
ことし、衆議院の選挙があるかないかわかりませんが、衆議院議員の選挙をするときに、最高裁判所判事の「国民審査」というのがあります。選挙戦の中盤から後半にかけて、最近は新聞によっては判事のプロフィールや、関わった主な裁判や判決について記載するところも出てきましたが、この映画を観た人だったら、きっとこの国民審査についても今までよりも慎重になるんじゃないかな、と思っています。
もう少し厳しい国民の目が裁判所に向けられないといけないような、そんな気がしたとりあえずの読後感でした。
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周防監督や加瀬亮さんの長めのインタビューのほか、傍聴を生業としている方のレビューなど、盛りだくさんの内容です。
- [2007/01/29 23:58]
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コメント
差し支えです
satesateさんこんばんは。
飾らなくて率直な加瀬さんに、ますます興味がわいてきました。カメラ目線がわからず妻夫木さんや二宮さんに教えてもらってた、とかなんだかほのぼの。
ふだんはあまりあの時間に「めざまし」は見てないのでもうホントに軽く奇跡v
あの「差し支えです」のセリフも強烈ですね。ありがちなんですけど…。
まず裁判官が忙しくて次の期日がビックリするほど先になり(意外と刑事は夏休みみたいに8月はないことも多い)、その上弁護士の先生が忙しいとまた先に伸びる。
徹平くんは保釈されたけど、その間ずっと拘置されてる被告人も多いんですよ…。
重たい問題提起だなあと改めてしみじみ思ってます。
飾らなくて率直な加瀬さんに、ますます興味がわいてきました。カメラ目線がわからず妻夫木さんや二宮さんに教えてもらってた、とかなんだかほのぼの。
ふだんはあまりあの時間に「めざまし」は見てないのでもうホントに軽く奇跡v
あの「差し支えです」のセリフも強烈ですね。ありがちなんですけど…。
まず裁判官が忙しくて次の期日がビックリするほど先になり(意外と刑事は夏休みみたいに8月はないことも多い)、その上弁護士の先生が忙しいとまた先に伸びる。
徹平くんは保釈されたけど、その間ずっと拘置されてる被告人も多いんですよ…。
重たい問題提起だなあと改めてしみじみ思ってます。
広人苑II、ごらんになったんですね
こんばんは。
良かったです、rukoさんも、広人苑IIご覧になったんですね。
私も見ながら、rukoさん、ご覧になってると、いいな♪と
念じていたので。
周防監督が、別の番組で、
「裁判は、普通の人には分からない言葉で進んで行きますからね」と仰っていて、
映画を見ると、本当に裁判官、検事、弁護士だけで、
話が進んでいってしまい
次回公判の予定も
被告の存在は無視で
弁護士が「差しつかえます」、、、。
予告で流れたシーンが
映画に無かったなあ、と思ったら、
そういうことだったんですね。
「それでもボクはやってない」も「ゆれる」も、
内臓をえぐるほどではありませんが
記憶に残るというより、内臓に残る、
私にとって、そんな映画でした。
良かったです、rukoさんも、広人苑IIご覧になったんですね。
私も見ながら、rukoさん、ご覧になってると、いいな♪と
念じていたので。
周防監督が、別の番組で、
「裁判は、普通の人には分からない言葉で進んで行きますからね」と仰っていて、
映画を見ると、本当に裁判官、検事、弁護士だけで、
話が進んでいってしまい
次回公判の予定も
被告の存在は無視で
弁護士が「差しつかえます」、、、。
予告で流れたシーンが
映画に無かったなあ、と思ったら、
そういうことだったんですね。
「それでもボクはやってない」も「ゆれる」も、
内臓をえぐるほどではありませんが
記憶に残るというより、内臓に残る、
私にとって、そんな映画でした。
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