▼ 大統領の理髪師
〈04年、韓国制作 116分 おすすめ度★★★★★〉
韓国ドラマ「クッキ」をけっこう楽しく観ているんですけど、クッキの奮闘はともかく時代は確実に動き出そうとしてるんですよね。ミングォンは大統領秘書官の役ですが、お仕えしている李承晩大統領は間もなく不正選挙が発覚してその座を追われ、軍政の時代を迎えます。
そんな激動の時代を大統領のお膝元で生きた庶民たちの平凡だけど切ない日々を描いたのがこの作品です。
「大統領の理髪師」公式サイト(アルバトロス・フィルム。日本語です)
→歴史背景についてけっこう詳しく書いてあり、参考になります。
ソン・ガンホ兄貴は初めて「JSA」を観たときから大好きなんですけど、復讐系映画は私の恐怖許容量を超えていたためなかなか作品を観る機会がありませんでした。けど、やっぱりこの人ホントに凄いです。以下、ネタバレ。
韓国ドラマ「クッキ」をけっこう楽しく観ているんですけど、クッキの奮闘はともかく時代は確実に動き出そうとしてるんですよね。ミングォンは大統領秘書官の役ですが、お仕えしている李承晩大統領は間もなく不正選挙が発覚してその座を追われ、軍政の時代を迎えます。
そんな激動の時代を大統領のお膝元で生きた庶民たちの平凡だけど切ない日々を描いたのがこの作品です。
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「大統領の理髪師」公式サイト(アルバトロス・フィルム。日本語です)
→歴史背景についてけっこう詳しく書いてあり、参考になります。
ソン・ガンホ兄貴は初めて「JSA」を観たときから大好きなんですけど、復讐系映画は私の恐怖許容量を超えていたためなかなか作品を観る機会がありませんでした。けど、やっぱりこの人ホントに凄いです。以下、ネタバレ。
冒頭に「この映画はフィクションです」って出てくるんだけど、出てくる歴代の大統領はなんとなく本人に似ています。顔は出て来なかったけど、ラスト近くに出てくる全斗煥大統領?のハゲぶりに思わずお茶を吹きそうでした。
とはいえ、韓国の現代史ってこんなに苛烈だったのか、ってちょっと軽く震えがくるような内容なのですが、それが単なる政治批判にならず、ブラックでサムいのについ笑わずにはいられないようにつくられているのが凄い。
ナレーターとして兄貴の息子を演じたナガンを選んだ作戦が当たったのかも。
兄貴が演じているのはちょっと頭弱め(!)の理髪師、ハンモ。奥さんとはできちゃった結婚で、字も読めません…。というわけで同じ町内会の顔役のチョンさんの言う通り、大統領の不正選挙の手伝いをして対立候補の名の書かれた投票用紙を捨てたり食べたりしてるような人。
まったく政治的な人じゃないのに、「おじいさん」が排除された後に軍事政権が樹立、気がついたらその大統領専属の理髪師になってた。
そんなハンモさん一家の約20年が淡々と続いていきます。下痢を起こした人が北朝鮮の人間と接触した「マルクス病」に罹患した、という理由で逮捕されたり拷問されたりするイヤな事件も描かれます。
ハンモは自分が大統領付の理髪師であることから、息子のナガンが下痢をしていると正直に警察に連れていきますが、まだ10歳くらいの男の子が本当に政治犯扱いされて電気拷問にかけられ、なんとか解放はされたものの、足が動かなくなってしまう。
ハンモが息子をおぶり、ありとあらゆる医者を渡り歩く場面が、哀しくて美しいんだ……。
そうこうするうち「チャングムの誓い」みたいな感じで不思議なお告げをする老師と出会い、やがてラスト、小さな奇跡が起きるのでした。でもその奇跡にもブラックな笑いを絡ますことも忘れていません。
どういう形でなのかは詳しく描かれませんでしたが、ベトナム戦争に韓国の若者がかり出されていたことも個人的には衝撃だったし(従軍するのは「冬ソナ」のヨングク)、朴正熙大統領がなぜ暗殺という血なまぐさい形で政権から排除されたのか、っていう話もざくっとですがわかりやすく描かれていました。
ちなみに軍人だった朴大統領は日本の陸軍士官学校の出身で、ひとこと怪しい日本語を喋る場面がありますw 「今日は本当にいい日だ」みたいな感じの。
クッキがテファ堂を韓国一の会社に育てようとしていた時代はこんな時代だったのか、と改めて感慨深かったです。
とはいえ、韓国の現代史ってこんなに苛烈だったのか、ってちょっと軽く震えがくるような内容なのですが、それが単なる政治批判にならず、ブラックでサムいのについ笑わずにはいられないようにつくられているのが凄い。
ナレーターとして兄貴の息子を演じたナガンを選んだ作戦が当たったのかも。
兄貴が演じているのはちょっと頭弱め(!)の理髪師、ハンモ。奥さんとはできちゃった結婚で、字も読めません…。というわけで同じ町内会の顔役のチョンさんの言う通り、大統領の不正選挙の手伝いをして対立候補の名の書かれた投票用紙を捨てたり食べたりしてるような人。
まったく政治的な人じゃないのに、「おじいさん」が排除された後に軍事政権が樹立、気がついたらその大統領専属の理髪師になってた。
そんなハンモさん一家の約20年が淡々と続いていきます。下痢を起こした人が北朝鮮の人間と接触した「マルクス病」に罹患した、という理由で逮捕されたり拷問されたりするイヤな事件も描かれます。
ハンモは自分が大統領付の理髪師であることから、息子のナガンが下痢をしていると正直に警察に連れていきますが、まだ10歳くらいの男の子が本当に政治犯扱いされて電気拷問にかけられ、なんとか解放はされたものの、足が動かなくなってしまう。
ハンモが息子をおぶり、ありとあらゆる医者を渡り歩く場面が、哀しくて美しいんだ……。
そうこうするうち「チャングムの誓い」みたいな感じで不思議なお告げをする老師と出会い、やがてラスト、小さな奇跡が起きるのでした。でもその奇跡にもブラックな笑いを絡ますことも忘れていません。
どういう形でなのかは詳しく描かれませんでしたが、ベトナム戦争に韓国の若者がかり出されていたことも個人的には衝撃だったし(従軍するのは「冬ソナ」のヨングク)、朴正熙大統領がなぜ暗殺という血なまぐさい形で政権から排除されたのか、っていう話もざくっとですがわかりやすく描かれていました。
ちなみに軍人だった朴大統領は日本の陸軍士官学校の出身で、ひとこと怪しい日本語を喋る場面がありますw 「今日は本当にいい日だ」みたいな感じの。
クッキがテファ堂を韓国一の会社に育てようとしていた時代はこんな時代だったのか、と改めて感慨深かったです。
- [2006/07/26 23:44]
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コメント
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更紗さん、こんばんは。
「反則王」は観ました。DVDも持っていますv ほんと、バッカみたいなんだけどおかしいですよね。「理髪師」は映画館で観られなかったのが残念です。
私も韓国映画って恋愛映画っていうイメージはごく最近のことだよね、って思ってます。
>>老師の言葉の謎
大統領の運命を知っていたので、あの台詞があったときに事件が近いのか、っていうことは漠然とわかったんですが、龍の目ってどうやって手に入れるんだよ、って思ってました。そうきましたか!って感じ。あと、警備の人間に見咎められて「龍の目」を…………のくだり、大統領の棺が理髪店の前で動かなくなるシーンと並べて、この人たちはホントに天才だと思いましたw
「反則王」は観ました。DVDも持っていますv ほんと、バッカみたいなんだけどおかしいですよね。「理髪師」は映画館で観られなかったのが残念です。
私も韓国映画って恋愛映画っていうイメージはごく最近のことだよね、って思ってます。
>>老師の言葉の謎
大統領の運命を知っていたので、あの台詞があったときに事件が近いのか、っていうことは漠然とわかったんですが、龍の目ってどうやって手に入れるんだよ、って思ってました。そうきましたか!って感じ。あと、警備の人間に見咎められて「龍の目」を…………のくだり、大統領の棺が理髪店の前で動かなくなるシーンと並べて、この人たちはホントに天才だと思いましたw
ソンガンホ
こんばんはー。
韓国映画=純愛映画と思いこんでいる人が多いけど、この手の映画が韓国映画の真髄なんだけどなーと思う私です。
さて、ソン・ガンホ作品でしたら、ぜひ「反則王」ご覧になって下さい
もうね、阿保くさいんですけど面白いです。
話しズレましたが、この作品は、あの老子の言葉の謎が分かった時に、上手いと思いましたよ
韓国映画=純愛映画と思いこんでいる人が多いけど、この手の映画が韓国映画の真髄なんだけどなーと思う私です。
さて、ソン・ガンホ作品でしたら、ぜひ「反則王」ご覧になって下さい
もうね、阿保くさいんですけど面白いです。
話しズレましたが、この作品は、あの老子の言葉の謎が分かった時に、上手いと思いましたよ
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大統領の理髪師 ★★★★★
コメントなきTBは削除致します 監督/イム・チャンサン 出演/ソン・ガンホ ムン・ソリ イ・ジェウン あらすじ/ある日、大統領官邸のある町の理髪師ソン・ハンモは 大統領の理髪師に指名された。 大統領の理髪師 韓国の近代史を笑いで包んだ上質の韓国映
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