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ニュルンベルグ軍事裁判 

2000年に制作されたテレビ用のいわゆる「ミニシリーズ」で、去年も確かAXNで放送していましたが、4回あって飛び飛びにしか観られず、今年はまとめて観ました。

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カナダとの合作ですが、翌年発生した「9.11」を経てなおこの作品が世に出たかどうかは微妙かもね、と思わされる意外にも良心的なつくりだったと感じました。

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Alec Baldwin, Jill Hennessy, Christopher Plummer, Roger Dunn, Yves Simoneau

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極東軍事裁判(東京裁判)についてはある程度知識があり、首相の靖国参拝問題で新たに興味を持った人もいるかもですが、ナチスドイツをどう勝者が裁いたのか、に関してはほとんど知識がなかったのでたいへん興味深かったです。Wikipediaによる簡単なまとめはコチラ。ちなみに東京裁判に関してのWikipediaの記述は「中立的な観点に基づく疑問が提出されているか、あるいは議論中」となっているためリンクはしません。

で、このミニシリーズについて。
主人公は主任検事であるジャクソン(アレック・ボールドウィン)なのでしょうが、中途半端に秘書の女性との不倫?が描かれたりして、主役としての重みは欠いていたように感じます。とはいうもののアメリカ、イギリス、フランス、ソ連(ロシア)の法廷での主導権をめぐる駆け引きや政治取引なども簡単ながら描かれ、単純に連合国=善、ドイツ=悪、となっていないのもよかったです。

そして、圧倒的な敵役としてのヘルマン・ゲーリングの存在感が素晴しかったです。ナチスドイツの大量虐殺の事実を知らなかった、なんて政権のナンバー2だった人間が言うなど笑止千万なのですが、看守の青年や家族に見せる優しさの一方で起訴された被告たちを恫喝するような言動をとるなどの奇怪さも含めた多面性がよく描かれていたと思います。

そして、ユダヤ人への迫害について問いただそうとする精神分析医に対するゲーリングのしっぺ返しが奮っています。

・もしドイツの抵抗が続いたら、広島や長崎に落としたようにアメリカは原爆をドイツに落としたか?落としていないだろう。君たちアメリカ人にとっては白人の子どもたちを殺すより日本人の子どもを殺す方が抵抗がずっと少ないはずだ。

・ユダヤ人の強制収容所を批判しているが、君たちが日系アメリカ人を強制収容所に入れたことはどう説明するのか。同じ敵国でもドイツ系、イタリア系のアメリカ人にはしていないではないか。

もちろん私はゲーリングを肯定するつもりはまったくないし、ユダヤ人迫害についてどんな正当化もあり得ないと思います。にしても、もし実際にこうした疑問をナチスの幹部たちが連合国の検察官たちにぶつけていたとしたら…。非常に興味深いです。

とはいえ、ナチスの幹部たちを前に、強制収容所の様子を撮影したフィルムが上映される場面は圧倒的。認めたくないゲーリングが「あんなのはプロパガンダだ」って言い捨てる負け惜しみも凄い。

ちょい役ですが、アウシュビッツに収監されて生き残ったフランス人女性の役としてシャルロット・ゲインズブールも出てきます。

また、ゲーリングの"対極"として懲役20年を宣告されたアルベルト・シュペーア軍需大臣が描かれます。彼は早い段階で自分の罪を認め、ほかの被告にも罪を認めるよう説得をしてゲーリングと対立する、という役所。

この後調べてみましたが、彼のこうした言動は減刑をかちとる作戦だったという見方をする人もいるようですが、ドラマでは彼は良心のある人間として描かれていました。建築家で理系のシュペーアが論告のあとの最終弁論で「通信手段の発達が思想を直接人々に届けることができるようになる」「兵器が発達し、次の戦争では世界が滅んでもおかしくない」と予言ともいえるようなことを淡々と述べる場面もまた、深い印象を与えます。

収監直後に戦犯容疑者の中から自殺者が出たため、当初は自殺を防ぐことを目的に戦犯たちの監視役として派遣された精神科医でユダヤ人のギルバート大尉(マット・クレイヴン)が次第に戦犯たち、引いてはドイツ国民の心理を分析していくのもおもしろい。

国民性として従順で自分よりも上にいる人間(親、教師、上司…)からの指示を疑わないこと、そして「共感の欠如」がナチスドイツの迫害を招いた、という結論は若干論理的に飛躍がないともいえませんが、興味深かった。

考えてみればこうした国際軍事裁判の被告席に自国民が座った日本とドイツがこの4年の間にサッカーの祭典を主催したんですよね。廃墟となったニュルンベルグの街の描写なども非常にリアルで、いろいろ考えさせられました。

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