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太陽 The Sun 

〈2005年 ロシア・イタリア・フランス・スイス制作 115分 おすすめ度★★★+〉
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気になっていた作品だったのですが思いがけず地元のムービルでかかっていたので、金曜レディースデー、上映最終日の最終上映に駆け込みで観てきました。

イッセー尾形ベストコレクション’99「ハルマゲドン記念集会」イッセー尾形ベストコレクション’99「ハルマゲドン記念集会」
イッセー尾形

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誤解を恐れずに言うとイッセー尾形さんしか、この昭和天皇を演じることはできなかったのではないか。むしろ、イッセーさんは実は、長い間コレをやりたくて仕方なかったんじゃないか、と思わせられてしまいました。以下ネタバレ。
映画は敗戦前後の皇居を中心に描かれます。皇居も爆撃を免れていなかったことすら知らなかった無知な私……。ろうそくをともした中で孤独に食事を摂る昭和天皇(イッセー尾形)が地下に掘られた今風に言うならシェルターの中で生活していることに気づくのに3分くらいかかりました。

侍従(佐野史郎ら)から「お上」と呼ばれ、生活は常に監視下にあるのと同じ「現人神(あらひとがみ)」が敗戦を経て人間宣言するまでを描いてるんですけど、とにかく不思議。

マッカーサーが夕食に招いた昭和天皇をドアの影からこっそりと眺めて「まるで子どもだ」とつぶやく場面があります。国民が自分の名前のもとに死んでいく現実への苦悩と、そこから逃げるようにヘイケガニなどの観察の「海洋生物研究」が戦況が切迫しているなかで日課として組み込まれている不思議を矛盾なく演じてしまっている。

陛下の御質問-昭和天皇と戦後政治陛下の御質問-昭和天皇と戦後政治
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私の記憶にある昭和天皇はもちろん晩年の、上の写真のイメージで、園遊会のニュースなどでどんな人にも質問に帰ってきた返答に「あっ、そう」と答えている、というのが定番の印象でした。そういう昭和天皇の口許の動きには特徴があって、私はそれは加齢に伴うものだと思っていたんですけど、イッセーさんはそれを1945年のヒロヒトさんで再現しちゃうんですね。

もちろん「あっ、そう」も連発。この方の口癖が「あっ、そう」であったのを知っているのも一定の年代以上になってきているんだよなぁ、と10人入ってなかった映画館内を観ながらしみじみです。

戦闘機が自分が研究している海洋生物、魚とB29を足して2で割ったような生き物の姿をして東京を焼き尽くす場面や、廃墟になった都心を天皇を乗せたジープが走る場面、二重橋からの出入りなどCGでつくった場面も透明で美しい不思議な映像です。

ただ、苦悩はしているけど、どこかでもしかしたら日本が勝つかもしれない、と思っていたことをマッカーサーとの会食でにおわせつつ、自分はヒトラーを知らない、と強硬に主張。その一方で書斎の机の上に置いてあったナポレオンらしき像をこそっと引き出しにしまうことも忘れていない。残るのはダーウィンとリンカーン像という不思議さ。

狡猾さも出てます。家族の写真コレクションとともにハリウッドスターの写真もたくさん持っているくせに、ちょびヒゲ姿の天皇に「チャーリー(チャップリン)!」と声をかける米軍のGIには「私はその俳優に似ているのか?私は映画を観ないので知らないが」と言ってみたり、マッカーサーが自分の生殺与奪を握っていると確信すると薦められた葉巻やブランデーを飲んでみたりする。

マッカーサー付の通訳の2世らしき人の気の遣い方がものすごく日本的で、この人はどんな第二次世界大戦生活を送ってきたのかとこれまた不思議に感じる異物感がありました。

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映画は皇后(桃井かおり)が皇居に戻ってきて、子どもたちといざ対面しよう、というところで終わりますが、苦い。ちなみに桃井さんの出番はその1シーン、10分くらいです。

皇后に「やっとこれで楽になれる。人間になれる」と心のうちを吐露する天皇に「あなた、ちゃんと人間にみえるのかしら」なんて皇后が軽く気持ちを落ちつかせて、佐野史郎の侍従に「私の人間宣言を録音した録音技師はどうしましたか?」と聞くと「自決いたしました」という返答がもどってくる、という。

じゃ「タエガタキヲタエ、シノビガタキヲシノビ」の玉音放送録音した人どうなったの~?とか思ってプルプルしているうちにエンドクレジットになってしまいました。

あの時代について、本当にまだまだ知らないことがたくさんあって「事実」は何なのかは結局わからないまま「歴史」になってゆくんだよな、と改めて考えさせられた2時間でした。

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監督のアレクサンドル・ソクーロフは独特の美学をもった映画監督として有名。これ、結局劇場では見逃しちゃったんだよね……。どういう映画だったのか改めて知りたくなりました。

コメント

「お上」の語感

satesateさんこんばんは。

そうですね、「距離感」は確かにとっても感じるつくりになっていました。なんでしょうね、外国人がアジアの皇帝を描くときはIではなくEmperorと三人称にするルールでもあるんでしょうか。私はあの発言を見てベルナルド・ベルトルッチの「ラストエンペラー」を思い出しました。

あのときも、子ども時代の傅儀が"The Emperor will walk"(余は歩くぞ…が字幕だったと思いますが)って言うんですよね。

桃井かおりの皇后と、佐野史郎の侍従と、おつきの侍従と、マッカーサーと、どの距離感も違っているようで実は一緒のような不思議さ、確かにあったと思います。

交差しない永遠の平行

rukoさん、コメント&TBありがとうございました。
時節がら、ついチャングムの王様とダブラセながら、見てしまいました。

この映画で感じたのは、「距離感」の演出です。
夫婦でありながら、あのぎこちなさと、距離感。
英語で話す時、「I」ではなく「Emperor」と3人称で話す距離感。

日本人が一人でも生きている限り、敵はここへは来ないという侍従と
最後に生き残る日本人が自分になるのではと危惧する、お上の距離感。

永遠に届くことのない距離を感じた映画でした。

日本での上映も快挙なのかも

更紗さんこんばんは。

やっぱり外国人が日本人をどう描くか、っていうのは気になるところありますし(さすがに「パールハーバー」は観る気はしなかったけれど)ソクーロフなので切り口が気になっていました。

桃井さんはいつ出てくるかと思いましたが、わずか10分ほどの登場でいろんなことを教えてくれる役割ですごくよかったと思います。

天皇や天皇制のことになるととても感情的になってしまう方が多いのは日本人としては仕方ないことなのも、と思いつつ、この映画が日本でぶじ?上映されてよかったなぁ、と思いました。

真実は・・・

こんばんはー。rukoさんもご覧になったのですね。
イッセー尾形。見事しかいいようがなかったです。
事実は確認のしようがないけれど、
日本人にはタブーな事柄を、よくぞ描いてくれました。
って気分でした。

皇后様とのくだりは素敵でした。
あの自決には背筋が凍りましたけど・・・

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  • [2006/11/27]
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太陽

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  • [2006/11/18]
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