fc2ブログ

クイーン The Queen 

〈2006年、英・仏・伊制作、104分 おすすめ度★★★★+ 〉

ん~味わい深い映画でした!最近連絡とってないんだけど、イギリス人の悪友に映画の感想をハゲシク聞いてみたくなるような。まぁ聞いたら、4年前のエリザベス女王の「ダイアモンドジュビリー(即位60年祭)」の際バッキンガム宮殿を見学したらしこたま怒られたのと同様に「おまえなー、そんな映画観てるんじゃねえよ」って怒られそうですがw

The Queen [Music from the Motion Picture]The Queen [Music from the Motion Picture]
Alexandre Desplat Giuseppe Verdi Alexandre Desplat

Milan 2006-09-26
売り上げランキング :

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


ダイアナさんが死んでからもう10年かぁ、というのがひとつですが、パリでダイアナが亡くなってから、ウェストミンスター教会でエルトン・ジョンが「キャンドルインザウィンド」を唄うまでの1週間がまさに実は英王室最大の危機であり、それを女王(ヘレン・ミレン)とブレア首相(マイケル・シーン)が不思議な二人三脚で乗り切ってしまった物語です。以下ネタバレ。

今のところ封切館は日比谷のシャンテ・シネだけですが、観にいったのが週末だったせいか、いつもの映画館より遥かに男性率が高くて驚きました。あまり男性が観にくる映画の印象がなかったので……。

お話はパリの事故から遡ること2カ月、17年ぶりに労働党が首相の座を奪還、若いトニー・ブレアが首相に就任するところから始まります。

エリザベス女王を演じたヘレン・ミレンがあまりにそっくりで、アカデミー賞主演女優賞の受賞後の記者会見で

「メイクをした自分の顔を鏡で見てあまりにも(女王に)似ているので驚いた」

と語っていたのも記憶にあたらしいんですが、キャストのほかの人たちはそれほど「そっくりさん大集合」とはなっていませんでした。なにしろフィリップ殿下がジェームズ・クロムウェルなんだから……orz ただ、ブレアさんの奥さんのシェリーさんを演じていたヘレン・マクロリーという人はかなり、似てたと思う。

ブレアさんはビミョーに似ているような似てないような、で、途中で「私はあのチェシャ猫みたいな笑いがイヤなのよ」と言われる微笑みが確かに



っぽいですな~w ちなみに、字幕が例によって戸田奈津子センセイだったため、イギリス人の皮肉でビターなユーモアがほとんど日本語の字幕に生きていない、無味乾燥な字幕になっていたことを付け加えておきます。なのでもちろん字幕にはチェシャ猫とは出てきません…。

シェリー夫人(弁護士)はかなり急進的な共和主義者という設定で、女王陛下との謁見も小馬鹿にしているふしがあり、そのへんてこりんな膝を曲げたごあいさつがものすごく下品に見えてしまうあたりもおもしろい。

そして、まだブレア首相が自分の就任演説すら国会で終わっていない8月の末に、あの事故が起こります。

とにかく哀しくもおかしいのがスコットランド・バルモラル宮殿で夏の休暇中である王室の皆様のコトの認識の甘さというか、世の中との乖離っぷりです。

最も浮世離れしているように描写されていたのは女王の夫であるフィリップ殿下。悲しみにうちひしがれているであろうふたりの王子(ウィリアムとハリー)に対して「外の空気を吸うことが大事」と、翌朝から鹿狩りに出かけることを提案(爆)。

「ストレスは鹿にぶつければおk」ってヲイ!

ダイアナの居城だったケンジントン宮殿やバッキンガム宮殿に次々と市民が献花し、騒ぎがどんどん大きくなってきているにもかかわらず、対応策を相談するため電話してきたブレア首相に「何様だというんだ、お茶が冷めてしまったじゃないかっ」と逆ギレしてみたり。

一方で離婚やカミラとのこともあってなのか、けっして女王に強く出ることができないチャールズ君のヘタレっぷりも只者ではありません。これじゃ、ダイアナを守ってやることはできなかっただろうなと思わされる。

王室のジェット機でダイアナの遺体を迎えに行くことにすら当初異議を唱えていた女王に「未来の国王の母親を民間機で運びますか」と言うのが精一杯という有様。

結局、チャールズはすべてをブレア首相に投げてしまい、ブレア首相が辛抱強く女王を説得し続ける、そんな展開となってゆきました。

そう。シェリーさんの解説によれば母親をすでに喪っていたブレア首相は女王に自分の母を重ねていた、ということがあり、ふたりのマザコン男が影の主役でもあるわけです。チャールズがダイアナのことを「母親としてはよく努力していた」と認めて女王が(じゃ自分はどうだったのか)と自問自答せざるを得なくなる場面や、チャールズがパリでダイアナの遺体と対面して明らかに悲しんでいる様子であったのも、印象的。

ダウニング街と広大な敷地を持つスコットランドのバルモラル城、そしてダイアナの死を悼む人々や当時のニュース映像のカットバックがうまくつながって、一種のルポルタージュでも見ているような気持ちになってきます。

やはりそういうなかで「芯」であるエリザベス女王を演じたヘレン・ミレンが女王としての風格や苦悩、時に見せる「人間らしさ」といったものを鮮やかに演じ分けていたので、ともすればシェリーさんが後半「どうして労働党の首相は最後は女王のペットになってしまうのかしら」と言うように王室・女王賛美で終わりそうなところをそうさせないのですね~。

当初、スペンサー家(ダイアナさんの実家)が葬儀をひっそりと行う、ということであったのが国民の4人に1人が共和制支持=王制廃止に賛成---という世論調査の結果が出てしまい、国葬に準ずる形、それも計画がかなり具体的だった皇太后(クイーン・マム=2002年没)のものを活用する形になります。ばーちゃんは当然ご立腹w

批判を受ける形で本来は女王がロンドンに不在の場合は絶対に掲げることのない旗(本来は王室旗=Royal Standardなんだけど結局はUnion Jackで妥協)を半旗で揚げることになる。

いやー、ダイアナ、まさに傾国の美女だったわけですね~。日本で見てるとそこまでの実感はなかったけど。

ロンドンに戻ってきて、宮殿に入ってしまわずに献花を見てゆくことにした女王とフィリップが目にしたのはダイアナを讃え、自分たちへ冷たいことばが連なったカードの数々。

They didn't deserve you

とかは、やっぱり見たらショックだろうな~。敬愛されてると思っていたわけですから。集まった群衆のなかに花をもった女の子を見つけ「お花を供えてあげましょうか」と声をかける女王の懐の深さにも感動したし、それに対して「お花は女王様に差し上げます」と答えた女の子には、ちょっとグッときました。

とにかく、まだご存命中である一国の君主をエンターテインメント性のある映画として成立させちゃう懐の深さは素晴しいと思いました。もう亡くなって20年近くたつ天皇を描いた、かなり観念的な映画ですらひっそり公開せざるをえないどこかの国とは、違うなぁと。

そして、颯爽と満面の笑みで登場したブレア首相がいま、政権の末期を迎えてさまざまな問題に直面していることを、映画の中で女王が「予言」しているっていうのもなんだかイイのですよ…。

5年前にロンドンに遊びにいった折うっかり13ポンド払ってバッキンガム宮殿の夏期特別公開を見てしまった私をパブで罵倒したイギリス人の友人が教えてくれたのは、これを機に王室は危機管理及びマスコミ&国民対策をばっちりやるようになり、王室の支持率は再び上昇に転じたそう。

そこに一役かったのはダイアナの面影をどこまでも残すウィリアム王子だったことは言うまでもない、と。最近、婚約も間近いと言われていたケイト・ミドルトンさんとの破局説も出てますけどね。

〈参考〉
The Official Website of the British Monarchy(英王室公式サイト。イギリスの歴史も学べる超充実のサイトです)

コメント

コメントの投稿















管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://rukolog2.blog60.fc2.com/tb.php/1792-32daad0c