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ロストロポーヴィチ 人生の祭典 Elegy of Life Rostropovich. Vishnevskaya 

(06年、ロシア制作 101分 おすすめ度★★★+)

4月に亡くなった世界的チェロ奏者のムスチスラフ・ロストロポーヴィチさん(エントリはコチラ)を、妻でやはり世界的なソプラノ歌手だったガリーナ・ヴィシネフスカヤさんと歩んできた人生を二人で振り返ってもらうドキュメンタリー映画です。

監督は「エルミタージュ幻想」「太陽」などのアレクサンドル・ソクーロフ監督。

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映画でうつしとられているロストロポーヴィチさん本人は、老いが「ちら見」されるものの基本的に信じられないほど天衣無縫、おおらかなキャラクターでした。けれど、ソヴィエト時代、いま風に言うなら当局に「ヲチ」されていたノーベル賞作家のソルジェニーツィンをかばったために活動の場を奪われて西側への亡命を余儀なくされ、ロシアに帰ったいまも国籍をもたないまま80年の人生を終えています。

「ソ連」と言われてもピンとこない世代がいまどき増えていると思うので改めて彼とヴィシネフスカヤさんの勇気には頭が下がりました。でも……。以下ネタバレです。

というドラマチックな人生を送られた方ですので、ドキュメンタリーの素材部分については文句の言いようがなく楽しめました。

ソクーロフ監督と言えば、

ワンカットで90分を撮りきった

エルミタージュ幻想


とか、昭和天皇をとっても独自のタッチで描いた

太陽


等でロシアの映像作家さんとしては非常に要チェックな人なんですが、今回の映画をデジタル撮影し、ドキュメンタリー「映画」と言いながらも全体としてはFLASHアニメーションを観ているような、そんなつくりに挑戦していました。

まず、「ドットの集合」を敢えて意識した映像を狙ったと思うのですが映像が全体として尖った印象を受けました。Photoshopのシャープフィルターを思い切りかけた画像みたいなそんな感じ(解る人にしか解らなくてごめんなさい)。フィルム撮影による映像のまろやかさ、みたいなものが全くない、という風にご理解いただければ…。

それから、インタビューを長時間するときはだいたい、複数のカメラで撮影して別のアングルで撮った映像を数カット組み合わせてゆくのが映像の基本手法なわけですが、このときにFLASHなどでよく見かける、画面そのものが右側にハケて、左側から別カットの映像が出てくる、ということが多用されました。

また、過去の写真などのコラージュ(画面の下や上から出てきて、現在の映像にかぶさる)などもいっぱい。

好き嫌いだと思うんですけど、デジタルな世界に身を置いてる自分としてはなんかそれがイマイチ洗練されなくて、こういうのを試したい気持ちはわかるんだけど何も世界の至宝ロストロポーヴィチさんでやらんでもええやん、的な気持ちがあり(爆)、だいぶ萎えてしまいました。

さて、本編ですが、80歳を目前に控えてなお精力的に喋りまくり、金婚式ではヨーロッパの主な王室の女王や大公たちが顔を揃えるなか、自分と妻もまたそうした王侯貴族のようにふるまい、そしてソヴィエト時代に失われた文化を取り戻すため絵画などを世界中から買い求めて美術館や博物館を妻とつくっている、そんな音楽家だけでなく「闘士」としての一面を観ることができたのは収穫でした。

ロストロポーヴィチさんが持っているパスポートはモナコのものなのですが、国籍のところには"Unspecified"(なし)って書いてあります。前述したように

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を書いたソルジェニーツィンを別荘に匿ったということで海外活動などの禁止といった迫害を受け、74年にソ連を捨てたロストロポーヴィチさんはソ連が倒れ、ロシアに帰った後も国籍をロシアに戻すことはしませんでした。

ちなみに最近

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コレが話題の山岸涼子さんは「アラベスク」で当時の空気を切り取ってます。踊りに関しては抜きん出た才能を持ちながらカタイ感じのソ連のバレエ界ではキャラクターダンサーにしかなれないと悲観した男性ダンサーがベルギーへと亡命してゆくのでした…。

ロストロポーヴィチさんは「もう50年もしたらね、宇宙人が地球にくる時代になる。そうしたら宇宙人と地球人の結婚も始まるかもしれない。そうしたら地球上の国境や国籍は無意味なんだよ」(概要)

なんて真顔で語っていて、ちょっと引いたんですがw。

一方の奥さんのヴィシネフスカヤさんは超がつく女王様キャラです。ロストロポーヴィチさんとは育ちも対照的だし、肉体が楽器である声楽家にはいつか確実にキャリアの「終わり」が訪れるものなのでそのあたりも、チェロ奏者である夫へのいろんな思いなどがありそうな人で、不思議なカップルだなぁとw でも一応、ラブラブに見えるのが不思議。

小澤征爾が指揮するウィーンフィルで「最後」と銘打たれた新作のお披露目のリハーサル風景なども盛り込まれていました。

「世界のオザワ」と呼ばれてる小澤さん、日頃ドキュメンタリーとかあまり拝見したことなかったんですが海外での長いキャリアが信じられないジャパングリッシュ(半分くらいは日本語…)。きっと音楽に没頭してしまうと英語にスイッチ切り替えるのが面倒になるのかもしれないけど、あれで日本語を解さないみんなに通じてるのがすげーなー、と素朴に感動しました。

最後にもういっこ文句言っとくと「人生の祭典」ってタイトルどうなんですかね。原題は「エレジー」っすよ?広義に解釈すりゃエレジーであろうと「祭典」だと思うけど、なんかニュアンスが違うナー。

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