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見応えアリ、でも… 駅路 

〈2009年制作 おすすめ度★★★★+〉

松本清張の生誕100年と向田邦子の生誕80年を記念する、ということで放送されたフジテレビのスペシャルドラマ「駅路」。心がざわざわするような、余韻の残る作品になりました。

やり場のない気持ちを「しゅっ、ぽっ」と表現する、鉄分の高い刑事・役所広司も、愛と現実のはざまで揺れる深津絵里も、やり場のない怒りに震える十朱幸代もそれぞれよかったですが、やっぱりいちばんインパクトがあったのは深津絵里のいとこを演じた木村多江だったかな…。

取調室での彼女の一筋の涙、そして震える指先のはげたマニキュア……流暢に語らなくてもそこに何かがありました。ホントによかった。

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クラシックからもってきたサントラも、すごくよかった。

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冒頭部分から繰り返し使われて印象的だった「アルハンブラの想い出」。切ないメロディーがとても効果的に使われていました。

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Alfredo Kraus & Giuseppe Taddei - Bizet: The Pearl Fishers - The Pearl Fishers: Je Crois Entendre Encore

ビゼーの「真珠採り」から「耳に残るは君の歌声」。こんなタイトルの映画が昔あったので覚えてました。ジョニー・デップとクリスティーナ・リッチが出てた暗い作品だったな~。

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Baltimore Symphony Orchestra & David Zinman - The Very Best of Relaxing Classics - Adagio for Strings, Op.11

深津絵里扮する慶子が、自分の気持ちを語るときにかかったのはバーバーの「弦楽のためのアダージオ」。「プラトーン」でも印象的に使われた曲ですね。

そして、いちばん心に刺さった曲。これだけは、わからなくてレビューを漁りまくったのですが、マーラーの交響曲3番の最終楽章でした。

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3番は聴いたことがなく、なんとなくマーラーっぽい?とは思ってたんですけど……。紹介してらした方、どうもありがとうございました!」

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佐藤春夫の詩「よきひとよ」が入ってる…はず。

よきひとよ はかなからずや
うつくしき なれが乳ぶさも
いとあまき そのくちびるも
手をとりて 泣けるちかひも
わがけふの かかるなげきも
うつり香の 明日はきえつつ
めぐりあふ 後さへ知らず
よきひとよ 地上のものは
切なくも  はかなからずや  

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自由を求めた小塚(石坂浩二)の「鏡」だった、ゴーギャン。

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小塚が撮影した慶子のモノクロ写真がとても鮮烈でしたが、撮影したのは↑の平間至さんというカメラマン。

さて。

今回の作品では設定を昭和が終わろうとしている昭和63年の年末から昭和64年1月7日までを描いていて、もちろん脚本を書いた向田邦子さん(昭和56年没)にはムリなので、演出の杉田成道(「北の国から」のヒト)と脚本家の矢島正雄が「脚色」しています。

でも、正直いうと、どうしてもソコにしなくちゃいけなかったかどうかが、イマイチぴんときませんでした。

昭和の終わりを描きたかった杉田さんの気持ちは、なんとなくわからなくもなかったんです。

杉田さんは1990年に、中井貴一と緒形拳を主人公に「失われた時の流れを」という作品をつくってて(なんとレーザーディスク版があるらしい)、それは昭和天皇の大喪の礼の日に、緒形拳扮する主人公が自分が疎開していた戦争中の時代を振り返るという、とても印象的な一品だったので…。

でも、そこにもってっちゃったせいでちょっとムリが出たような気がしました。以下「神は細部に宿る」派のくだらないツッコミです…。

せっかく冒頭、気合い入れて昭和63年の世界に飛ぼうとしてるのに、SLを撮影し終わった呼野(役所広司)と小塚が瞬間遭遇している北陸地方?の某駅を通過してゆく、いかにも21世紀っぽい特急列車に、引きました。

小塚の奥さんがまだ「汽車の時間」なんて言ってる時代ですよ~ orz

別に私の鉄分はそんなに高くないと思うんだけど、駅弁食べながら呼野が見てた時刻表のページが「山陽本線」に見えたのもなんだか…。

捜索願が小塚の妻(十朱幸代)から出され、事情を聴きにゆく呼野と部下の若い刑事(大口兼悟)の場面にも違和感がありました。若い刑事が何やらもぐもぐ歩きながら食べてる。

20年前は今ほどコンビニがそこかしこにある時代ではないし、「ヒマネタ」とはいえ捜査対象のお家の門をくぐってもまだモノを食べ続けてるっていう必然性がわかりません。

この大口刑事も、今っぽすぎるんだよね~髪の毛にいっぱい段入ってて…。演技は悪くなかった、っていうかずっと役所広司と一緒に行動する役ですごーくご本人には貴重な経験だったと思うんですが。

コンビニといえば小塚さんが送別会でバンザイされてるカットの後ろにファミマが映り込んでたりするのも(当時はカラーリングが違うよね…)……。もうちょっと昭和ぽい場所でロケしてほしかったす。

そして、物語のクライマックスは昭和最後の大みそかになるんだけど、東京、雨降ったか?って思って調べる手だてないかと思ったら、ありました…。

東京の過去の天気 1988年12月 (goo天気)

晴れてはいなかったみたいですが、翌日の元日も曇りみたいで、雨は降ってないんですよね、たぶん。池袋に局地的に雨が降ったのか?もちろんドラマとしての効果はすごくあるのでしょうけれど、ムリに雨にしなくてもよかったのでは……。

それと、あの当時は、新聞の社会面や時には一面に常に「天皇陛下のご容態」みたいな記事が出ていて、「吐血」「下血」がキーワードであり、なんとなく「自粛ムード」が漂っていたのに、大みそかにがっつり営業している木村多江の店とか、呼野が慶子を連れて行って自分の娘の話をする、年をまたいで営業してる酒場とか、ちょっとリアルじゃないように思えてなりませんでした。



↑このニュース、生で観ていて、聴いたことのないチャイムの音にただならぬものを感じたのを今でも思い出します。

あの頃の空気感、みたいなものは、やっぱり20年もたってしまうと出すのは難しいのだな~と改めて感じずにはいられませんでした。

まぁ、松本清張が原作を書いた年代(1960年とのこと)にもってくのはもっとハードルが高いしピンとこないだろうし、向田邦子が脚本を書いた年代だったら、少しずらしていっそ、ということだったんだと思います。

でもやっぱり、一定以上の年の人はあの当時の記憶が鮮烈に残っているわけで、やるならテッテーテキに考証してほしかったと感じました。

とはいえ、冒頭書いたように木村多江のみごとな演技には感服したし、ちょっとだけしか出なかったけれど、お局OL?のふせえりも怪演してて、役者さんたちは総じて素晴らしかったです。

唐十郎の可部のおじいちゃんは、やりすぎだと思ったけどw

向田邦子の作品をオンタイムで観るには私はさすがに若すぎたんで、すべての作品は彼女の死後に読んだり観たりしたのですが、深津vs.十朱のシーンは鳥肌がたちました。松本清張の原作と向田邦子の脚本がガチンコ勝負している、そんな感じで。

それにしても、小塚は自分がようやく掴んだと思っていた夢を死と言う形で断たれ、慶子は愛する人をただ失ったのではなく、一生、小塚の死に良心の呵責を感じ続け、十字架を背負って生きてゆくことになり、小塚の妻は自分の夫が知らないもうひとつの顔をもっていたことをこんな形で知り、刑事としての定年を控える呼野は「自分には、なーんにもない」と自らの人生を振り返る。

本当に哀しい物語でした。

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