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葉落帰根 遥かなる絆〈3〉 

祖国へ

文化大革命をもっとがっつりやるのかと身構えていましたが案外さくっといくようですね…。「大地の子」があるのでかなりハードなのを想像していたので……。

友だちはふたりとも懐深くて優しいし、お母さんの淑琴さん(岳秀清)はひとり耐えて泣いてるけど変わらず優しいし、玉福(グレゴリー・ウォン)、いまのところかなり恵まれてると思います。

遥かなる絆」はNHK総合で土曜21:00から放送。




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「大地の子」でも、養父母が歯を食いしばるようにして高等教育を受けさせた主人公の陸一心(上川隆也)と対照的に、労働力としてこき使われ、若くして死んでゆく生き別れの妹(永井真理子)が描かれていました。

久枝(鈴木杏)が劉(フービン〈胡兵〉)の誘いで教えるようになった残留孤児とその子どもたちのための日本語学校でも、大学を出て眼科医として働き、日本語がめきめきと上達する李さんと、労働力として満足に学校に通えていないため日本語の習熟に苦労するもうひとりの残留孤児の姿が…。

今回はこのほかにも「満州花嫁」ということばも出てきます。満州に渡った日本人と結婚したものの相手が戦死し、中国人男性と再婚して中国人として生きてゆこうとしたおばあさんが久枝を訪ねて昔の話をする場面が非常に印象的でした。

そのことを「いや~お父さんったらそんなことすると思わなくて意外~!」という感じにさくさくっと劉に喋った久枝が劉の怒りにふれてしまう、という展開には、現在の日本の若い世代が共通して抱えているであろう「歴史認識の『段差』」のようなものを色濃く感じずにはいられません。

さらに、劉の怒りの根底には、彼本人が中国の「不幸な過去」のせいで父親を自殺(中国では特に忌むべきこととされる)で失ったことやそれに伴って極めて貧しい生活を送ったであろうことが推察される、という李さんの解説がありました。

中国の人たちから厳しいことばを投げつけられて凹む久枝なんですけど、どうしてお父さんの幹(加藤健一)の日記を読むということ以外に積極的に中国の近代史を勉強してみようとしないのかな~なんてちょっと思ったりしました。

さて。

前回、なぜ幹=玉福が恩のある義母をある意味さしおく形で日本の両親を求めるのか、日本人を名乗ることで受けるデメリットのほうがメリットよりも大きいはずなのに、と書きましたがはからずも帰国を目指す李さんが説明してくれました。

「葉落帰根」

最後は祖国に戻ってゆくもの、ということばが重かった。とはいえ、玉福の執念は今後予想される、文化大革命による迫害の前からなので、その一途さはまた特別なものだったと思います。

200通の手紙を6年かけて日本赤十字に出し続け、ようやく返事が。そこには、玉福の終戦当時のことを細かく書くようにとあり、玉福は占い師の寧(薄宏)を訪ねます。

淑琴さんのなみなみならぬ苦労を知る寧は最初、昔のことは何も覚えていないとすっとぼけますが、後から詳しいことを教えにきてくれました。

それで、玉福は服についていた名札に「城」「蔵」の字が書かれてあったことや、父親が満州国軍の少佐で、勃利に住んでいたことなどを知るのでした。

イヤァ、それにしても「検閲」とか、国交のない国にどうやって郵便出すのとか、どうしたらそんな国に出国できるのなどなど、そりゃ、胃潰瘍にもなってもおかしくないだろうと思わずにはいられませんでした。

玉福のまさに血を吐くような努力の末に、両親は愛媛県の八幡浜市に健在であることがわかります。手紙を受け取った父親(浜畑賢吉)が母親(伊藤榮子)に「幹の年はいくつか」と聞くとすかさず「24歳と11カ月です」と返す場面では思わず涙が出ました。

さらに、帰国の手続きをしようとして許可が下りず、当局の監視を受けるようになった玉福にあくまで優しい親友ふたりもすばらしすぎです…。久枝が中国にきたお祝いの会にふたりとも来ていたので、最後まで親友でいるんですよね。

次回はいよいよ文化大革命の混乱を乗り越えて帰国が決まるようですが、どんなウルトラCでそんなことが実現したのか、ちょっと来週が楽しみです。

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