▼ 自立 遥かなる絆〈5〉
果てしない旅
玉福こと幹(かん=グレゴリー・ウォン)、ついに祖国日本の土を踏む。でも、なかなか「ソフトランディング」とはゆかないわけで…。父の弥三郎(浜畑賢吉)との、気持ちのすれ違いが痛々しかったな…。
「遥かなる絆」はNHK総合で土曜21:00から放送。次回が最終回。

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中国では、牡丹江の駅で旅立つ玉福を見送って倒れた養母の淑琴さん(岳秀清)が3日寝たきりになり、目覚めたときには髪が真っ白になってしまっていました。彼女の心情は察するにあまりあり……。
帰国した幹は、日本語という厚い壁にぶつかっていました。中国で優秀だったことが裏目に出たというか、たぶん基本的にプライドの高い人なので、ことばができないもどかしさのようなものが、普通の人よりもきっと強かったのだと思います。
そして、自分でももどかしいのに、父の弥三郎には「結局のところ、幹の努力が足りない」と言われてしまいます。
大学にゆきたい、という幹には「尚早」とだけ書く父。
多余的人(よけいな者)
ではないか、と苦しみ始める幹。そんなふたりを見かねた母(伊藤榮子)が松山に住む弟(松沢一之)に、彼が勤める建設会社で働けないか持ちかけました。日本語が喋れない幹に対してこの人がした「入社テスト」が、漢字を書けるかどうか。漢字をきちんと書くことができたため、入社OKとなりました。
松山で下宿も世話してもらい、定時制高校に通う段取りもつけます。もともと優秀だったこともあって、高校は飛び級で1年から3年に進級、陵子(佐藤めぐみ)という友人もできました。
県庁所在地である松山と、田舎町である八幡浜ではいろいろと事情が異なっていたのかもしれませんが、一足飛びに「大学に行きたい」ではなく、家族と同居しながら、昼間は家のみかん農園を手伝いつつ定時制高校に行く、といったことはできなかったのかなとちょと疑問。
厳しい父と一緒に暮らしていても、お互い傷つけ合ってしまうだけという判断だったのかもしれないけれど、25年も別れ別れで、結局家族として一緒に暮らせたのは3カ月だったというのは、なんだか、残酷でした。
陵子と結婚、久枝(鈴木杏)を含む子どもも次々に生まれて充実した生活を送る幹のもとに、弥三郎が倒れたと知らせが入り、意識のない弥三郎の枕元でシベリア抑留を経験していることなどを聞くシーンに、ますますそう思いましたね。
現代編では、中央大学に留学することが決まった劉(フービン)と久枝の様子が描かれます。久枝は父の幹(加藤健一)に、劉の日本での保証人になってくれるよう頼みました。劉には一緒に東京の大学で勉強しようと言われ、揺れる久枝でしたが結局、中国にもう1年残ることを選択します。
幹の人生がドラマティックでありすぎるだけに、久枝の経験にもう少し深みがほしいなと感じます。最終回で少しまた出るようですが、日本と中国の大学生のあいだにあるギャップのようなもの、歴史認識、そうしたことを久枝はどう受け止めて咀嚼するのか。そこがドラマの本当のキモであるべきのような、気がしました。
玉福こと幹(かん=グレゴリー・ウォン)、ついに祖国日本の土を踏む。でも、なかなか「ソフトランディング」とはゆかないわけで…。父の弥三郎(浜畑賢吉)との、気持ちのすれ違いが痛々しかったな…。
「遥かなる絆」はNHK総合で土曜21:00から放送。次回が最終回。

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中国では、牡丹江の駅で旅立つ玉福を見送って倒れた養母の淑琴さん(岳秀清)が3日寝たきりになり、目覚めたときには髪が真っ白になってしまっていました。彼女の心情は察するにあまりあり……。
帰国した幹は、日本語という厚い壁にぶつかっていました。中国で優秀だったことが裏目に出たというか、たぶん基本的にプライドの高い人なので、ことばができないもどかしさのようなものが、普通の人よりもきっと強かったのだと思います。
そして、自分でももどかしいのに、父の弥三郎には「結局のところ、幹の努力が足りない」と言われてしまいます。
大学にゆきたい、という幹には「尚早」とだけ書く父。
多余的人(よけいな者)
ではないか、と苦しみ始める幹。そんなふたりを見かねた母(伊藤榮子)が松山に住む弟(松沢一之)に、彼が勤める建設会社で働けないか持ちかけました。日本語が喋れない幹に対してこの人がした「入社テスト」が、漢字を書けるかどうか。漢字をきちんと書くことができたため、入社OKとなりました。
松山で下宿も世話してもらい、定時制高校に通う段取りもつけます。もともと優秀だったこともあって、高校は飛び級で1年から3年に進級、陵子(佐藤めぐみ)という友人もできました。
県庁所在地である松山と、田舎町である八幡浜ではいろいろと事情が異なっていたのかもしれませんが、一足飛びに「大学に行きたい」ではなく、家族と同居しながら、昼間は家のみかん農園を手伝いつつ定時制高校に行く、といったことはできなかったのかなとちょと疑問。
厳しい父と一緒に暮らしていても、お互い傷つけ合ってしまうだけという判断だったのかもしれないけれど、25年も別れ別れで、結局家族として一緒に暮らせたのは3カ月だったというのは、なんだか、残酷でした。
陵子と結婚、久枝(鈴木杏)を含む子どもも次々に生まれて充実した生活を送る幹のもとに、弥三郎が倒れたと知らせが入り、意識のない弥三郎の枕元でシベリア抑留を経験していることなどを聞くシーンに、ますますそう思いましたね。
現代編では、中央大学に留学することが決まった劉(フービン)と久枝の様子が描かれます。久枝は父の幹(加藤健一)に、劉の日本での保証人になってくれるよう頼みました。劉には一緒に東京の大学で勉強しようと言われ、揺れる久枝でしたが結局、中国にもう1年残ることを選択します。
幹の人生がドラマティックでありすぎるだけに、久枝の経験にもう少し深みがほしいなと感じます。最終回で少しまた出るようですが、日本と中国の大学生のあいだにあるギャップのようなもの、歴史認識、そうしたことを久枝はどう受け止めて咀嚼するのか。そこがドラマの本当のキモであるべきのような、気がしました。
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- [2009/05/17 21:08]
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