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日本が原爆をつくる? ジパング〈11~20巻〉 

ようやく、かわぐちかいじの「ジパング」を20巻まで読了…。いま40巻まで出てるわけだからやっと折り返しです。道はまだまだ遠いですね。興味深かったのは「歴史の揺り戻し」の部分かな…。

つまり、歴史を動かしてその場は変わっても、結局は別のイベントが発生して動かす前の結果と似たようなことになるというアレです。宮部みゆきの「蒲生邸事件」でタイムトラベラーが悩んでいた話ですね。

ジパング (11) (モーニングKC (888))ジパング (11) (モーニングKC (888))
かわぐち かいじ

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とりあえず最大戦速で読み飛ばしているので、登場人物の微妙な描き分けでちょっと混乱してたりします。例えば滝と角松がこんがらがったり、麻生と柳が微妙にわからなかったり。速度を少し落とせば状況的にわかるんですけどね(汗

以下各巻ごと、ネタバレ感想です。

ヒトラーの山荘「ケールシュタインハウス」に潜入した津田大尉。津田は突っ込まなきゃいけなかったのかな…。家族を犠牲にして死んでいったドイツの大佐のことを思って「やらねばならない」という気持ちになったんだと思うけど、最終的には草加にいいように使われちゃったみたいな形で、退場させられて勿体なかった気がします。

訪独団員一名病死、という小さな新聞記事を見て山本五十六は顔色変えてました。

そして、11巻では草加がヨーロッパにやってきた本当の理由、つまりウラニウム235を入手するということが明かされました。濃縮したウラニウム235を手に入れる理由は、日本が原爆をつくりたいっていうこと以外にないんですが……。

日本が核武装するハナシは今、北朝鮮情勢がやや切迫しているので威勢のいい国会議員の人のなかにもそんな考えの人いるみたいですが私は絶対に核は二度と使ってほしくないと思っているので日本が主導権を握って原爆を誰かに(アメリカか…?)使用する事態は避けてほしいです。

というわけで番外編の「Friendship」は草加ネタということもあり、あまりそそられませんでした。イギリス人のこの人たち、これから登場するのかな?

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草加の原爆計画の鍵を握る人物、京大出身の物理学者、倉田が登場。トラック(現:チューク)にやってきた倉田は最初、草加のことは信じていなかったものの、草加の予言?通り、連合艦隊がトラックを撤収してしまったことを知り、内地に帰ることを決意します。

しかし、内地に帰るために乗っていた第二長安丸はアメリカの攻撃を受け沈没。トラックで出会い、行動を共にしていた芸者?の晴江が倉田の目の前で死んでいきます。

一方の草加はポーランド系の学者から5万スイスフランで濃縮ウラン20kgを入手。ロシアンルーレットはちょと手に汗を握らざるを得ませんでしたがまさかここで草加が脳吹き飛ばすことはないと思えばw

ちゃっかりしっかり、津田がいなくなった空席にウラニウムを積んでA26で日本を目指しちゃう草加に軽くムカつき…。

ジパング (13) (モーニングKC (918))ジパング (13) (モーニングKC (918))
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山本長官からの指令を受けた滝の動きで草加は満州国の首都、新京で身柄を海軍に確保されますが、荷物のウラニウムは石原莞爾の手に渡ってしまいました。草加はパラオで営倉入り?となります。やってくるヤモリだかトカゲだかに「イソロク」とか名前つけてるのが、不気味。

一方のアメリカはオペレーションサジタリウスで「みらい」が放った「矢」を手に入れますがどんな兵器なのかは解析しきれず。そこに登場したのが大富豪で飛行機ヲタでもあるハワード・ヒューズ。「みらい」にまつわる物証を新たに手に入れたら5000万ドルあげる、とこれまで「みらい」と対戦したことのある米軍関係者(「ワスプ」のハットン、潜水艦のエヴァンス、キスカで対戦したテイラー)を集めて「セクションS」を立ち上げました。

一方の「みらい」。日本の輸送船団が「ダンピール海峡」で壊滅的な被害を受けた史実を変えようとします。佐竹の「海鳥」が徹底的にポートモレスビーの基地を偵察し、その結果を受けた航空隊による爆撃で連合国側は大打撃を受けたはずが……。

「歴史のゆりもどし」始まる?

ジパング (14) (モーニングKC (938))ジパング (14) (モーニングKC (938))
かわぐち かいじ

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ダンピールの攻防、佐竹死す。神経を保つために、危険手当の支給額などを計算してみせていたりしていたのに、最期は反射的に「みらい」を守ってしまったというところでしょうか。館山の自宅に戻れたと思ったのが死の直前のフラッシュバックだったのが悲しすぎました。

「海鳥」と佐竹の能力を失ったのは「みらい」にとってかなり大きな損害では?

アメリカ(セクションS)側ではエヴァンスとハットンが死に、テイラーを残します。「みらい」の真実を1988年のダイムとともに角松から告げられるテイラー。

佐竹の死とダンピールのいくさが引き金になって「みらい」は角松派と菊地派に次第に分かれていきます。それをみて菊地に接近する滝。

番外編は角松と梅津艦長の出会いを描いた「守るべきもの」。前編後編の短い作品ですが、「昼行灯」などと言われている梅津さんの指揮官としての識見の高さや判断力を、阪神大震災を舞台に描いていて、読み応えアリ。

災害派遣の経験がなかった海自が初めて阪神大震災で応援に派遣されますが、海自の人たちは自衛隊が守るべき暗黙のルール、例えば被災者のまえで食事を摂らないとかタバコを吸わない……などをまったく知らなかったことに角松が気づいてゆくところがよかった。

ジパング (15) (モーニングKC (959))ジパング (15) (モーニングKC (959))
かわぐち かいじ

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歴史は微妙に変えられなかった…。ブーゲンビル上空で撃墜死するはずの山本五十六・連合艦隊長官は「史実」の死亡時刻である運命の時間から2時間だけ生きますが、真珠湾攻撃で兄を失いラバウルで撃ち落とされた米兵に射殺されてしまうのでした。

とはいえ15巻のみどころは菊地(ってか事実上滝?)主導のみらいクーデター。同期の3人、角松、菊地、尾栗の対決シーンは緊迫感あってすごくよかったです。例の自爆装置のパスワードが角松と尾栗によって変えられていたところなど、手にヘンな汗かいちゃいました。

この巻から麻生掌帆長に注目が。最終的に麻生は柳や篠原とともに角松についてみらいを下艦する選択をします。

山本長官の死で草加は自由になり、みらいを使ってマリアナに米軍を集めて叩く計画をたてはじめるのでした。

ジパング (16) (モーニングKC (984))ジパング (16) (モーニングKC (984))
かわぐち かいじ

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インドを動かしてイギリスを動揺させるためみらいをインド洋に送る計画も浮上。角松と草加が久しぶりにパラオで対決しますが、草加のほうが一枚上手で手が出せなかった角松は日本へ帰り、山本長官の国葬に参加します。

葬儀のあと葬儀委員長をつとめた米内光政大将にコンタクトをとるのに角松がモールス信号を使い、それに米内さんが「ヨウソロ」と応えるところに萌え(汗

米内さんに動いてもらって停戦に持ち込んでほしいと訴える角松と米内さんの話が思いのほか長引き、街の喫茶店で不用意な会話をしていた麻生・柳・篠原の3人が特高警察に通報され、麻生と柳はなんとか逃げたものの篠原と角松は捕まり、拷問を受けて篠原は死んでしまいました。

あまりにも無防備すぎたのもやはり「平和ぼけ」している現代人だからでしょうか?角松が米内さんの名前を出すのが遅すぎたのもあるけど、ただでも陸軍やその筋の人からマークされている米内さんを無駄に危険に晒してしまいました。

特高の追及をうまくかわす米内さん、流石。毛沢東登場、石原莞爾がまたよけいな動きを。

ジパング (17)    モーニングKCジパング (17) モーニングKC
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海軍軍人の服装が夏の第二種軍装じゃない「第三種軍装」が増えてきました。みらいはインド洋に本格展開。スリランカ爆撃へ出撃します。

ミッドウェーで沈没した「赤城」の生存パイロット、秋山が登場。一方、梅津艦長は草加たちの動きを防ぐべく如月のサポートを受けて南京へと向かいました。

梅津さんの信念みたいなものは理解できなくもないんだけど、みらいがザンネンな状況になっているいま、梅津さんのリーダーシップは必要だと思うのでこんな危ない任務を買ってでなくても…とつい思ってしまいます。

ジパング (18)    モーニングKCジパング (18) モーニングKC
かわぐち かいじ

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見どころはインド空軍でイギリスからスピットファイアを支給されているシン少佐と秋山とのドッグファイト。

てかシン強すぎ?

戦闘シーンはあまり好きじゃないので最大戦速を超えて飛ばしましたが、秋山が死んでしまうのにはちょっと納得いかなかったな。それも「赤城で死んでしまうよりはこっちのほうがいい」みたいな形でちょっと美化されていた感じがしてしまい、違う意味で悲しかった。

史実ではガダルカナルの沖で沈む空母「龍驤(りゅうじょう)」の攻防がクライマックスに。みらいを角松とともに降りられなかったことを悩み、龍驤の通信員になった立花が船と運命を共にしてしまいました。龍驤に坐乗していた滝は生還。

ジパング (19) (モーニングKC (1440))ジパング (19) (モーニングKC (1440))
かわぐち かいじ

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角松は米内さん経由井上成美?の手配で、潜水艦伊152に乗ってみらいを菊地(というか滝というか草加)から奪還するためパラオへ。艦長は肝の座った人ですが、いまや力を握っているのは滝や草加のため、味方の艦船にも自分たちの存在を知られては困る厄介な存在になってしまうのでした。

昭和17年(「いま」は昭和18年)の10月に海軍兵学校の校長になった井上成美がどうやって潜水艦を手配することができたのか、ちょっとナゾ。やっぱり米内さんパワーかしら。

一方、インド洋方面ではついに日本軍が史実にないボンベイ空襲に成功します。チャーチル大激怒。

そして舞台は南京へ。梅津さんと倉田が接触します。倉田は着々と原爆製造を進めていました。そして、週に一度は上陸して、長安丸で死に別れた晴江さん似?の芸者さんと遊んでいるのですが…。

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「南京に梅が散る」。石原莞爾を敵にして如月の必死の努力、というか知恵比べも虚しく…うわーん梅津さん死んじゃったよ!海軍vs 陸軍のせめぎ合いは緊迫して、よいエピソードだったですが、梅津さん死ななきゃいけなかったんだろうか。

結局、草加が当初計画していた航空機に積む大きさの原爆は製造不可になっちゃったけど、ウラニウムを海軍が奪還する計画は失敗に終わってしまったのだからいってみれば犬死にじゃないですか~。

角松たちが乗った伊152は駆逐艦「島風」に目をつけられてしまった模様。これからフィリピン・シブヤン海での追跡劇となるのでしょう。シブヤン海は戦艦「武蔵」が沈んだ海。歴史はどう変わるのでしょう?

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