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ETV特集「戦争を着た時代」 

日曜の晩に放送されたETV特集「戦争を着た時代」を観ました。日清戦争から太平洋戦争まで、羽織の裏「羽裏」や子ども、特に男の子の着物などに、戦争の情景や武器、戦闘シーンなどを描いたデザインがたくさんつくられ、多くの人に着られていたことを紹介した番組です。

図説 着物柄にみる戦争図説 着物柄にみる戦争
乾 淑子

インパクト出版会 2007-07
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番組は、上記の本の著者である東海大学国際文化学部教授の乾淑子さんと作家の澤地久枝さんが対談し、証言を交えながら進むという形式で進んでいきました。

前提として、当時は戦争といえば勝つものだという立ち位置にあったからこそなのかな、とは思いましたが、投下される爆弾の絵、自爆して死んだ兵士(いわゆる「肉弾三勇士」「爆弾三勇士」)を子どもにデフォルメしたり、そういうのを身にまとうことがcoolであった、という史実を受け入れるのに現代の私の感覚では1時間たっぷりかかりました。

韓国の併合や満州国の建国、松岡洋右の演説と国際連盟脱退など、ことごとく着物のモチーフとなっていて、なかには新聞の紙面をそのまま着物の柄に写し取ったものも。

「戦争が消費の対象」

という考え方も、ちょっと怖かったです。今、平和を享受している私が観れば違和感があるものも、子どもの頃から慣れ親しんでいればちっとも違和感は感じない。ということは、今私が違和感のない感覚も実はどこかおかしい部分があるのかもしれないと思うと、それもおそろしい。

着物の意匠だけに、太平洋戦争の激化とともに物不足となり、しだいに戦争柄の着物はなくなるわけですが、その型紙を活かしたような格好で戦後早い段階で今度は米軍兵たちをモチーフにした柄がつくられ、売られていたということにも驚きを禁じえませんでした。

誰がいったいそういう柄の着物を着ていたのかと。

いまで言うなら「キャラクターもの」に近い扱いなのかな、とも思いますが、戦う兵士を描いたお茶碗が子ども向けに戦争中もつくられ続け、使われ続けていたことなども衝撃的でした。

参考:ETV特集「戦争を着た時代」紹介ページ

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