スポンサーサイト 

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

強く。 妻よ!松本サリン事件 犯人と呼ばれて… 

1994年に起こった松本サリン事件は、なんとなくむしむしとする夜の記憶とともに、うっすら思い出します。そのころ私は事件が起こった長野県のおとなり、新潟に住んでいたわけですが、事件そのものが切迫感をもっては感じられずただひたすら不気味だったことだけが記憶の彼方に残っています。

今回フジテレビが、松本サリン事件の被害者で、事件発生当時、警察とマスコミから犯人扱いを受けてしまった河野義行さん一家を描くドラマをつくった、ということで観ました。

とにかく、一家の「強さ」に打たれた2時間でした。

妻よ!―松本サリン事件を乗り越えて (新風舎文庫)妻よ!―松本サリン事件を乗り越えて (新風舎文庫)
河野 義行

新風舎 2004-12
売り上げランキング : 315310

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


FC2ブログでの人気ドラマレビューをチェック!

何よりも驚いたのはまず、事件発生当時、両親がサリン中毒で入院してしまったなか14歳だった次女と15歳の長男、仁志さんが報道陣や警察に対応していたことです。倒れた河野さん(石黒賢)は仁志さん(浅利陽介)を呼んで「京都のおばあちゃんに連絡をとるように」と指示していますが、そのおばあちゃんがドラマ本編のなかで姿を現すことは最後までありませんでした。

7人の死者を出した松本サリン事件。当時の映像が出ていましたが報道、といっても地元の新聞社から東京の雑誌メディア、さらにはワイドショーの取材陣までが押し寄せて昼夜の区別なく家を取り囲み、たいへんなことになっていたはず。

そんななかで警察の捜査員に恫喝されながら折れることなく対応を続けた仁志さんの父を信じる信念には、頭が下がりました。

河野さんが、サリンの毒にやられながらも冷静に、警察が事情聴取にきたら協力するようにといった指示を仁志さんに出している言葉尻をとらえた警察官の報告から警察が河野さんを怪しいと思いはじめたこと、写真が趣味だったため家に青酸化合物などが保管されていたことなど、すべての状況を警察は「河野さん=犯人」としてとらえてゆきます。

病院からの、事情聴取は2時間までという診断書を提出してもそんなことは無視。大きな声を出して自白を強要する、ポリグラフ(うそ発見器)で「黒」の判定が出るなどなど、長野県警の当時の思い込み捜査が淡々と描かれて本当に恐ろしくなりました。

体調が悪く伏せているにもかかわらず病室に見張りの警察官がつくほどの物々しさのなか、救いの手を差し伸べた永田弁護士(大地康雄)の

警察は無実を証明してくれるのではない。犯人をつくるところ

という台詞に心が冷えました。つまり、なんらかの事件に巻き込まれてしまったとき、無実の自分が犯人と目星をつけられ、執拗な取り調べの末持ちこたえられなくなり自白に追いつめられる、といったことがいつどんな形で起こっても不思議ではないのが実はいまの日本である、ということ。

そして、マスコミは警察関係者への取材をベースに記事を書いて発表し、結果、その報道を信じた人たちからの嫌がらせにも耐えねばならないという事態も起きます。

敢えてそのあたりは描かなかったのだとは思いますが、河野さんの3人の子どもたちは思春期。どんな好奇や冷たい視線を浴びながら学校生活を送っていたかということは想像に難くなく。

そんななかでも、重い後遺症でことばすら発することができなくなった母親の澄子さん(松下由樹)を見舞い、父を看病し、家事をやってゆく。ときに家族が衝突してしまう場面もありつつ、団結してゆく河野さん一家の姿が痛々しく、そして羨ましくもありました。

東京で翌年3月に起こった地下鉄サリン事件をきっかけにオウム真理教の事件への関与が明らかになりますが、その前の段階で長野県警はサリンを河野さんがつくることは不可能だったことをわかっていながら謝罪等を一切しなかったとしています。

本当に、恐ろしい。

オウム真理教が摘発され、河野さんの無実が証明され、当時の国家公安委員長だった自民党の野中広務が直接功のさんに謝罪します。

無実は証明されたものの、澄子さんの病状は一進一退を繰り返し、脳がどんどん萎縮してゆくなか、家族は澄子さんを守り続けました。

そして、澄子さんは昨年8月に14年間の闘病の果てに、亡くなります。

いまの河野さん一家の紹介でまたまた驚かされました。河野さんは元オウム真理教の信者で、サリンをまく車の製造にかかわったとして実刑判決を受けた男性と交流。家に招いてお庭の手入れをしてもらったり、一緒に温泉に入っちゃったりしています。

どんだけ………強いんだ。30歳になっている仁志さんはさすがにこの件には違和感を感じずにはいられないようですが…。

そして、家事の負担などが重くのしかかっていたであろう長女が京都大学に進学して研究者になっているという紹介にも、頭が下がらずにはいられませんでした。もっとユルい状況にあっても弱音を吐くことなんかいくらだってあり得るだろうに。

ところどころ違和感を感じる描写はなくもなかったですが、観てよかったと思いました。

報道は何を学んだのか―松本サリン事件以後のメディアと世論 (岩波ブックレット)報道は何を学んだのか―松本サリン事件以後のメディアと世論 (岩波ブックレット)
河野 義行

岩波書店 2004-10
売り上げランキング : 72130

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


報道被害 (岩波新書)報道被害 (岩波新書)
梓澤 和幸

岩波書店 2007-01
売り上げランキング : 148574
おすすめ平均

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


松本サリン事件―虚報、えん罪はいかに作られるか松本サリン事件―虚報、えん罪はいかに作られるか
河野 義行

近代文芸社 2001-05
売り上げランキング : 156227
おすすめ平均

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


松本サリン事件に関しては

日本の黒い夏 [冤enzai罪] [DVD]日本の黒い夏 [冤enzai罪] [DVD]
熊井啓 平石耕一

日活 2001-11-22
売り上げランキング : 12234
おすすめ平均

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


ニュースがまちがった日―高校生が追った松本サリン事件報道、そして十年ニュースがまちがった日―高校生が追った松本サリン事件報道、そして十年
林 直哉

太郎次郎社エディタス 2004-07
売り上げランキング : 240561
おすすめ平均

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


も参考になります。

カーペンターズ・ボックス~40周年記念コレクターズ・エディション(DVD付)カーペンターズ・ボックス~40周年記念コレクターズ・エディション(DVD付)
カーペンターズ

ユニバーサルインターナショナル 2009-06-24
売り上げランキング : 521

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


河野さん一家の描写に「イエスタデイ・ワンスモア」が繰り返し使われて、切なかった。一家5人が明るく暮らしていた日は戻らないだけに…。

コメント

コメントの投稿















管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://rukolog2.blog60.fc2.com/tb.php/2665-3c5cdfa3

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。