▼ 何がダメだったんだろう 不毛地帯
特に2月、仕事でバタバタしていたのでどんどん「不毛地帯」の録画が溜まってまして…最終的に千里(小雪)が出る場面はこのドラマには不要と判断してすべて早送りすることで折り合いをつけ、なんとか完走しました。何度も挫折しそうでしたが、大門(原田芳雄)と兵頭(竹野内豊)に引っ張られてなんとか走りきったというところかなぁ。
要するに期待しすぎたってことかも。
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全体として、役者さんたちは好演(怪演)だったと思います。ただ、なぜこの主役は唐沢寿明じゃなきゃいけなかったのかの説得力が決定的に欠けてた、そんな気がしました。
後半になればなるほどその違和感が増していきます。特にシベリアの抑留者の埋葬地を訪ねるラストシーン。冷たい凍土に眠る戦友たちのためにわざとそうしていったと考えることもできるかも、ですけれど、コートのボタンもとめずマフラーも軽く巻いただけで涙流されても、ホントはそんなに寒くないでしょ?って思っちゃうんですよね。
彼のひとことがなければ敗戦とともに自決してたかもしれなかった谷川元大佐(橋爪功)の葬儀に駆けつける場面でもコートを着たまま最後の別れとか、なんでそうなっちゃうかなあ。
あとホントにヤバい状況での究極「紅子チート」に頼り過ぎでしょ。
山崎豊子の原作ではどのように描かれてるか知りたいところですが、紅子(天海祐希)のキャラクターが常に自分で何かを切り開いてゆく能動的で魅力的な女性として描かれていただけに、壹岐(唐沢寿明)のどこでもドア的な存在に終わってしまったのが惜しまれます。
どこまでも壹岐の行動を待ち続けた千里との対照というのもあったでしょうが、対極にいる千里のじっとりねっとりしたたたずまいに魅力を感じることがまったくできなかったこともあり、なんだかモヤモヤ感が。
女性の描き方でもうひとつ解せなかったのがハル江さん(吉行和子)。壹岐と千里の関係に嫉妬?普通にキモいおばあさんじゃなかったですか?(汗
女性陣がぱっとしなかったのに対し男性たちは素晴らしかったっす。
もう岸部一徳のどんなお芝居を見ても里井さんにしか見えないしw 心臓やられていつ「死ぬ」という形で退場するかと思いきや終盤まで絡んできてビックリ。
近畿商事関係では空気を読むのが上手く変わり身が速さに驚かされ続けた角田(篠井英介)も印象的でした。あとしつこく出てきた小出(松重豊)も味わいぶかかった。
とはいえやはり大門社長と兵頭がアツかったですね。壹岐が大門に引導を渡すときにフラッシュバックがありましたが元大本営参謀を雇おうと決意した昭和30年から老醜といってよい状態までの折々の大門さんが出てきて感動しちゃいました。
カリスマをやらせたらいま原田芳雄の右に出る人はいないのでは。
それと、兵頭。商社マンとして操る英語がこなれている。壹岐の英語は一生懸命覚えたのをできるだけ流れるように喋ってる感じなのに対して兵頭のはとても自然です。ぜひ21世紀の丹波哲郎を目指してほしいです(マジ)。丹波さんの英語はホントに凄かったからなぁ…。
つらつら考えると田淵幹事長、のちの総理(江守徹)って田中角栄だったのね!出てこなかったけど佐橋=佐藤栄作と。いまごろ接続する私。
いちばんおもしろかったのはやっぱりサルベスタン入札までの盛り上がりかなぁ。あのイラン人のお医者さんはなんで近畿商事をハメようとしたのかを知りたいためだけでも原作読みたくなりました。
新聞記者の田原(阿部サダヲ)がいつまでも鉄砲玉みたいな描写だったのは残念です。壹岐がヒラから副社長になったように、田原だってあれだけスクープ書いてたら新聞社でエラくなっていったはずだよ?
役者さんたちの好演があってカバーされたけど、番組が始まる前に喧伝されていたスケール感は残念だけどあまり感じなかったですね。自動車編のアメリカ・デトロイトも石油編のイランも、モスクワ・シェレメチェヴォ空港ではロケしたのかなぁ?
「白い巨塔」と比較するのは禁じ手だとは思うけれど、あのときのワルシャワとかアウシュビッツでのロケの迫力がまったくなかったのは残念でした。イランの山中に兵頭が通うのも夜の撮影でしれっとごまかしてたし。経済状況が違いすぎるわけである程度ショボくなるのは仕方ないにしてもね。
壹岐のモデルといわれる瀬島龍三は実際は伊藤忠の会長までやっていてあのような美しい引き際の美学はなかったわけで、なにかしら山崎さんの願望が投影されてるキャラなのでしょうね。山崎豊子の長編のなかでたぶん唯一読んでないのがこれなので、ちょっと落ち着いてきたのでやはり読んでみようかな。
要するに期待しすぎたってことかも。
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全体として、役者さんたちは好演(怪演)だったと思います。ただ、なぜこの主役は唐沢寿明じゃなきゃいけなかったのかの説得力が決定的に欠けてた、そんな気がしました。
後半になればなるほどその違和感が増していきます。特にシベリアの抑留者の埋葬地を訪ねるラストシーン。冷たい凍土に眠る戦友たちのためにわざとそうしていったと考えることもできるかも、ですけれど、コートのボタンもとめずマフラーも軽く巻いただけで涙流されても、ホントはそんなに寒くないでしょ?って思っちゃうんですよね。
彼のひとことがなければ敗戦とともに自決してたかもしれなかった谷川元大佐(橋爪功)の葬儀に駆けつける場面でもコートを着たまま最後の別れとか、なんでそうなっちゃうかなあ。
あとホントにヤバい状況での究極「紅子チート」に頼り過ぎでしょ。
山崎豊子の原作ではどのように描かれてるか知りたいところですが、紅子(天海祐希)のキャラクターが常に自分で何かを切り開いてゆく能動的で魅力的な女性として描かれていただけに、壹岐(唐沢寿明)のどこでもドア的な存在に終わってしまったのが惜しまれます。
どこまでも壹岐の行動を待ち続けた千里との対照というのもあったでしょうが、対極にいる千里のじっとりねっとりしたたたずまいに魅力を感じることがまったくできなかったこともあり、なんだかモヤモヤ感が。
女性の描き方でもうひとつ解せなかったのがハル江さん(吉行和子)。壹岐と千里の関係に嫉妬?普通にキモいおばあさんじゃなかったですか?(汗
女性陣がぱっとしなかったのに対し男性たちは素晴らしかったっす。
もう岸部一徳のどんなお芝居を見ても里井さんにしか見えないしw 心臓やられていつ「死ぬ」という形で退場するかと思いきや終盤まで絡んできてビックリ。
近畿商事関係では空気を読むのが上手く変わり身が速さに驚かされ続けた角田(篠井英介)も印象的でした。あとしつこく出てきた小出(松重豊)も味わいぶかかった。
とはいえやはり大門社長と兵頭がアツかったですね。壹岐が大門に引導を渡すときにフラッシュバックがありましたが元大本営参謀を雇おうと決意した昭和30年から老醜といってよい状態までの折々の大門さんが出てきて感動しちゃいました。
カリスマをやらせたらいま原田芳雄の右に出る人はいないのでは。
それと、兵頭。商社マンとして操る英語がこなれている。壹岐の英語は一生懸命覚えたのをできるだけ流れるように喋ってる感じなのに対して兵頭のはとても自然です。ぜひ21世紀の丹波哲郎を目指してほしいです(マジ)。丹波さんの英語はホントに凄かったからなぁ…。
つらつら考えると田淵幹事長、のちの総理(江守徹)って田中角栄だったのね!出てこなかったけど佐橋=佐藤栄作と。いまごろ接続する私。
いちばんおもしろかったのはやっぱりサルベスタン入札までの盛り上がりかなぁ。あのイラン人のお医者さんはなんで近畿商事をハメようとしたのかを知りたいためだけでも原作読みたくなりました。
新聞記者の田原(阿部サダヲ)がいつまでも鉄砲玉みたいな描写だったのは残念です。壹岐がヒラから副社長になったように、田原だってあれだけスクープ書いてたら新聞社でエラくなっていったはずだよ?
役者さんたちの好演があってカバーされたけど、番組が始まる前に喧伝されていたスケール感は残念だけどあまり感じなかったですね。自動車編のアメリカ・デトロイトも石油編のイランも、モスクワ・シェレメチェヴォ空港ではロケしたのかなぁ?
「白い巨塔」と比較するのは禁じ手だとは思うけれど、あのときのワルシャワとかアウシュビッツでのロケの迫力がまったくなかったのは残念でした。イランの山中に兵頭が通うのも夜の撮影でしれっとごまかしてたし。経済状況が違いすぎるわけである程度ショボくなるのは仕方ないにしてもね。
壹岐のモデルといわれる瀬島龍三は実際は伊藤忠の会長までやっていてあのような美しい引き際の美学はなかったわけで、なにかしら山崎さんの願望が投影されてるキャラなのでしょうね。山崎豊子の長編のなかでたぶん唯一読んでないのがこれなので、ちょっと落ち着いてきたのでやはり読んでみようかな。
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- [2010/03/21 22:42]
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