▼ 「華麗なる一族」(映画版・山本薩夫監督)
ことし生誕100年だった山本薩夫監督の作品で、夏にも一度、NHK BSの衛星映画劇場で特集があり、年末のいままたいくつもの作品が放送されたので、録画して久しぶりに観ました。3時間半をこえる大作でありながら原作を忠実に再現していてかつ、退屈さを感じさせない。
すばらしいです。
「不毛地帯」と「金環触」、さらに「白い巨塔」も観ましたがどれも重厚でありながらふつうに楽しめる作品です。いま日本映画は元気と言われていますが、演じられる俳優さんだけでなくこれだけの作品をつくりあげられる人たちはいないだろうなと思わされました。
映画版の華麗なる一族の出演者はこんな感じです。
万俵大介=佐分利信
万俵寧子=月丘夢路
万俵鉄平=仲代達矢
万俵銀平=目黒祐樹
万俵一子=香川京子
万俵二子=酒井和歌子
万俵早苗=山本陽子
万俵万樹子=中山麻里
高須愛子=京マチ子
美馬中=田宮次郎
三雲祥一=二谷英明
三雲志保=大空真弓
大川一郎=河村弘二
倉石弁護士=鈴木瑞穂
一之瀬工場長 - 稲葉義男
一之瀬四々彦 - 北大路欣也
和島帝国製鉄専務 - 神山繁
安田太左衛門 - 志村喬
佐橋総理夫人 - 北林谷栄
小泉夫人 - 荒木道子
永田大蔵大臣=小沢栄太郎
春田銀行局長=平田昭彦
キャストをあげていくだけできりがないのですがほんのちょい役、ただし格が必要な役で滝沢修が出てたりもうこれだけで満腹。
何よりもやはり京マチ子の愛子が強烈です。グラマラスなイメージの京さんだけど、特にパンツスタイルになったときのスタイルの良さが凄い。そして1970年代の映画なので露出がすごいw 何をしても絵になって説得力があります!
仲代達矢、田宮次郎が出ることによる引き締め感はやはり超強力。鉄平の「鉄に生きる男」の硬質さはもちろんですがワンシーンかもう1回くらいしかないとはいえ子どもとのふれあいや、四々彦(北大路欣也)と二子(酒井和歌子)の間を取り持つときも兄の優しさもやっぱり上手すぎる。
対照的な田宮次郎も美馬のいやらしさと計算高さをガッチリ。自殺することなく年を重ねていたらどんな役者さんになっていたのか本当に惜しい。
意外に好演だなあと思ったのが酒井和歌子。品があってときに大胆で優しい女性像に説得力がありました。
万俵家の六甲の自宅の再現も上手くて、小説通りのイメージで安心して観ることができました。鉄平の「ル・コルビジエ風」の洋館もちゃんと小説で読んだイメージ通りだし、神戸・灘浜の工場地帯を遠く、海に向かって右手に見える当たり前の配置が当たり前にできている。
3時間半の長編だけど削るとこはガンガン削っていて、当時そんなことしてた人は女優さんくらい?なエステ通いなどの愛子の若さへの固執や大介と鉄平の確執の「将軍」の描写も一切なし。あと銀平と万樹子の結婚生活の破綻についても最低限の描写しかありません。
現代はやはり、重みを感じさせる年の重ね方をしている役者さんがいまは少ないなぁと感じずにはいられません。仲代達矢と木村拓哉の比較という失笑になってしまうので数年前にTBSがつくったドラマと比較するつもりはまったくないけど、佐分利信と現代の北大路欣也を比べてもね、重量感が全然違う…
古い映画はやっぱり撮影当時の空気感が濃厚に出るのでいまと比べるのも楽しい。阪神大震災で多くが失われてしまった栄町通の金融機関の重厚な建物群や国際線が忙しく離発着していた羽田空港などなど、ドラマだけでなくいろんなことが楽しめます。
すばらしいです。
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「不毛地帯」と「金環触」、さらに「白い巨塔」も観ましたがどれも重厚でありながらふつうに楽しめる作品です。いま日本映画は元気と言われていますが、演じられる俳優さんだけでなくこれだけの作品をつくりあげられる人たちはいないだろうなと思わされました。
映画版の華麗なる一族の出演者はこんな感じです。
万俵大介=佐分利信
万俵寧子=月丘夢路
万俵鉄平=仲代達矢
万俵銀平=目黒祐樹
万俵一子=香川京子
万俵二子=酒井和歌子
万俵早苗=山本陽子
万俵万樹子=中山麻里
高須愛子=京マチ子
美馬中=田宮次郎
三雲祥一=二谷英明
三雲志保=大空真弓
大川一郎=河村弘二
倉石弁護士=鈴木瑞穂
一之瀬工場長 - 稲葉義男
一之瀬四々彦 - 北大路欣也
和島帝国製鉄専務 - 神山繁
安田太左衛門 - 志村喬
佐橋総理夫人 - 北林谷栄
小泉夫人 - 荒木道子
永田大蔵大臣=小沢栄太郎
春田銀行局長=平田昭彦
キャストをあげていくだけできりがないのですがほんのちょい役、ただし格が必要な役で滝沢修が出てたりもうこれだけで満腹。
何よりもやはり京マチ子の愛子が強烈です。グラマラスなイメージの京さんだけど、特にパンツスタイルになったときのスタイルの良さが凄い。そして1970年代の映画なので露出がすごいw 何をしても絵になって説得力があります!
仲代達矢、田宮次郎が出ることによる引き締め感はやはり超強力。鉄平の「鉄に生きる男」の硬質さはもちろんですがワンシーンかもう1回くらいしかないとはいえ子どもとのふれあいや、四々彦(北大路欣也)と二子(酒井和歌子)の間を取り持つときも兄の優しさもやっぱり上手すぎる。
対照的な田宮次郎も美馬のいやらしさと計算高さをガッチリ。自殺することなく年を重ねていたらどんな役者さんになっていたのか本当に惜しい。
意外に好演だなあと思ったのが酒井和歌子。品があってときに大胆で優しい女性像に説得力がありました。
万俵家の六甲の自宅の再現も上手くて、小説通りのイメージで安心して観ることができました。鉄平の「ル・コルビジエ風」の洋館もちゃんと小説で読んだイメージ通りだし、神戸・灘浜の工場地帯を遠く、海に向かって右手に見える当たり前の配置が当たり前にできている。
3時間半の長編だけど削るとこはガンガン削っていて、当時そんなことしてた人は女優さんくらい?なエステ通いなどの愛子の若さへの固執や大介と鉄平の確執の「将軍」の描写も一切なし。あと銀平と万樹子の結婚生活の破綻についても最低限の描写しかありません。
現代はやはり、重みを感じさせる年の重ね方をしている役者さんがいまは少ないなぁと感じずにはいられません。仲代達矢と木村拓哉の比較という失笑になってしまうので数年前にTBSがつくったドラマと比較するつもりはまったくないけど、佐分利信と現代の北大路欣也を比べてもね、重量感が全然違う…
古い映画はやっぱり撮影当時の空気感が濃厚に出るのでいまと比べるのも楽しい。阪神大震災で多くが失われてしまった栄町通の金融機関の重厚な建物群や国際線が忙しく離発着していた羽田空港などなど、ドラマだけでなくいろんなことが楽しめます。
- [2010/12/11 17:30]
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