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勇者糸子のRPG カーネーション〈~8週〉 

本来は秋クールドラマの情勢にいれとくべきでしたが近年まれに見る期待感で朝ドラ「カーネーション」を観ているため別枠としました。

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最後に朝ドラのこと書いたのは去年の「てっぱん」でした。結局、あのぬるーい、どこにも筋の通ってなくてとりあえず「家族」って唱えたら何でもアリという出鱈目に耐えきれず途中で脱落。大震災でみんなが痛みを感じてるところに始まった「おひさま」も期待してはみたものの舞台は昭和、太平洋戦争の時代にもかかわらず登場人物の思考や発言が21世紀すぎてこれまた脱落。あのシュールな世界の中で一本筋が通っていたのは真知子さん(マイコ)だったかな。黒子に徹するべき脚本家が持論グダグダ語ってしまうようなドラマは、ダメなんですよねきっと。

さて「カーネーション」。実在の人物の生き様をモデルにするのですから「ゲゲゲの女房」のようにおもしろくないはずがないとは思ってました。

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それも、小篠綾子さん本人が突き抜けてるだけでなく彼女が育てた娘たち3人も突き抜けまくっているわけで。そして舞台となった時代もドラマチックです。過去の朝ドラ視聴のなかでも名作中の名作の1本だと思っている

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「あぐり」に並べるかどうか、日々の楽しみでたまりません。物語はヒロインの糸子(尾野真千子)が独立、結婚、出産とあっという間に人生のイベントが1週間で片付きw 幼なじみの勘助(尾上寛之)に召集令状が来たところで今週の放送が終わったので「青春編」の終わりということでしょうね。今後に期待をこめて続きをダラダラと。

以下畳みます。

ヒロインの尾野真千子は映画でがんばっていたほか着々とNHKや民放でキャリアを積んできてました。「芋たこなんきん」はけっこう楽しんで観てたと思いつつ何の役だったか全然覚えてなくて残念です…ヒロイン町子さんの叔母のひとりだったみたいだけど。

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映画版「クライマーズ・ハイ」で原作を改編してつくられた、墜落事故原因に肉薄するヒロインの女性記者役だったり。

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「外事警察」で気がついたら真っ黒な公安の刑事に変身して終わってたり。

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芦田愛菜ちゃんの大出世につながった「Mother」で北海道の冬に娘の愛菜ちゃんをゴミ袋に入れて外に捨てる鬼母だったり。

どちらかというとダークでブラックなイメージの女優さん。NHKの朝ドラヒロインに決まったということが報じられたときは「えええ、だいじょうぶ?」と思ったものですが心配はいまのところ杞憂に終わっています。

何しろ予想通りの波瀾万丈っぷりで、次々に絶体絶命的なイベントがありながらそれをクリアし、前へ前へと進む糸ちゃんが痛快でたまりません。まさにRPGの勇者。百貨店の制服20着も、パッチ一晩で100枚も、大量のテントもとにかくやっつけていく。

「被災地に元気を」とか「女性たちよ、よき人生を」とか空疎な文句を吐かなくても糸ちゃんのがむしゃらで必死で、とにかく目の前にあることはどんどん片づけて先へ、前へ進んで行こう、という姿勢には否応なく背中を押されるというか…むしろ糸ちゃんは自分の腕一本で「よき人生を」掴みとっていこうと悪戦苦闘しているわけでそこにこそ共感のポイントがあると感じます。

こまけえことはいいんだよ!毎日とにかく前向いて生きていこうぜ!

って思わされてしまうところがスゴイ。

糸ちゃんのモデルの綾子さんは私生活も奔放だったみたいで、そういう面がどこまで取り入れられるのかはわかりませんが、繊細な面と男勝りの豪快な面やことば遣い、なかなかふつうの女優さんではできないなと日々思ってるところで、まさに尾野さんじゃないと演じられない朝ドラ史上ある意味最強な、破天荒なヒロイン像なのかも。

そして、その糸ちゃんの苦闘は一人ではどうしようもないわけで、それを支える家族や岸和田の周囲の人たちもキャラがしっかりと書き分けられそれぞれ出番が輝くのも素敵です。

お父ちゃんの善作さんを演じている小林薫が上手いのは当然なので敢えておいといて、ハルばあちゃん(正司照枝)、お金持ち出身のド天然なお母ちゃん(麻生祐未)、妹の静子(柳生みゆ)。神戸のおじいちゃん(宝田明)におばあちゃん(十朱幸代)、伯父さん(田中隆三)。商店街の木之本のおっちゃん(甲本雅裕)、木岡履物店のおっちゃん(上杉祥三)…ライバル?奈津(栗山千明)。

そして何より安岡さんご一家。カレーを食べさせてくれて何かと糸ちゃんを気にかけ頼りにもするおばちゃん(濱田マリ)、糸ちゃんの洋裁師としての転機に助言をしてくれる八重子さん(田丸麻紀)、幼なじみの勘助(尾上寛之)、ちょっと影薄いイケメンなお兄ちゃん(須賀貴匡)。

脚本も今のところこのテンション本当に6カ月もつのん?と心配になってしまう濃さ。毎週、ふつうの朝ドラならよかったね、さて来週は!?っていうのがだいたい金曜日か、引っ張っても土曜日の5分くらいで、明日は明日は?って毎日思ってしまいます。

脚本を手がけたのは

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「ジョゼと虎と魚たち」や

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阪神大震災から15年たった神戸で暮らしていて心に傷を残して成長したふたりを描いた「その街のこども」などを手がけた渡辺あや。伏線もうまく張り巡らしてあって思わぬところで回収されたりしてビックリさせられてるし、期待してます…。

いくつか心に残った「糸子語録」を。

===ここから引用===
(女学校を辞めて桝谷パッチ店で働きたいとお父ちゃんに言ってはたかれたあと)
「言えました。いっぺん言ったら二回言える。二回言ったら何度でも言えます」
(初売り前の納品に何とか仕上げた心斎橋百貨店の制服。勘助が間に合ってよかったなと言ったら)
「なんや、自分でつくったような顔しやがって」
(就職を辞めてお姉ちゃんの洋裁手伝いたいと言った暢気な妹の静子に)
「あほか…あほか!あんたなんもわかってへんな!……ウチは苦しいんや。もう呉服屋でものうなったし、まだ洋裁屋にもなられへん。このままやったら家族全員飢え死にや。切羽詰まってんねん。四の五の言わんと、会社働きに行き!それか、どないしてもうちの手伝いがしたいっちゅうんやったら、自分で外回って、洋裁の仕事とってき!」

(初めての洋裁のお客になった芸者の駒子が完成したワンピースを試着したら)
「あかん…もう楽しみで我慢でけんようになってきた。な、このまま外歩こうよ。絶対みんな駒ちゃんのこと見るで。ごっつ気持ちええで!な?」
(勘助が家にお給金を入れず毎晩出歩いてることを知り)
「はー…何しとんねんあいつ。おばちゃんに心配かけよって。うちもアホやけど、あいつもたいがいやな!」

(今でいうならキャバクラ遊び?ダンスホールで勘助を現行犯逮捕した糸子姐さんいわく)
「おまえ、どこまでアホやねん。はじめからおまえに資格なんかないんじゃ。おまえはまず、おっちゃんに義理果たす。おばちゃんに孝行する。それが何より先なんじゃ」
(試しにつくったドレスをこれでいいからと言う黒谷友香のサエに啖呵)
「こんな安物高うなんか売れるかいな。うちの仕事はな、詐欺師ちゃうんや。洋裁師や!」

(板尾創路の村松商店での布地裁断が口コミでどんどん広がったとき)
「おばちゃん、いうんはすごい人らで、いっぺん気にいったら、どんどん横に広げていってくれる…と思ちゃったら、どっこい、横だけやのうて、なんとおばちゃんは、縦にも強い。タテタテタテ、ヨコヨコヨコ。つながってつながって、あっちゅう間に、店はお客さんでいっぱいになりました」
(ついに呉服店ではなく洋裁店を開きたいと掛け合ったクリスマスの夜)
「誰の許しももろてへん。そやけどうちは、もう許しなんかいらん。うちが決めた、そんでええ…(略)そうや、えらなったわ。お父ちゃんが毎晩まいばん、酒ばっかり喰ろうて、酔っ払ってる間に、うちはえらなったんや。悪かったな。毎日朝から晩まで働いて、洋服屋と生地屋繁盛させて、賃金全部、家入れて、電気扇かて買うた。今日かてクリスマスやさかい、妹らにケーキ買うて帰っちゃったんや。悪いけどな、お父ちゃんよりな、うちのほうがよっぽどこの家支えてるんや!」


===引用ここまで===

心に残るシーンはやはり糸ちゃんの名台詞があるところですが

1.初めてのイブニングドレスを試しにつくった朝、お母ちゃんがそのドレスを着て、ラジオから流れる音楽に乗って神戸のお嬢さんに戻ってワルツを踊る。この音楽はブラームスのワルツ15番で、まだ子どもだった糸子がお正月に神戸に行ったときにいとこの勇くんに連れられて初めて「ドレム」に出会ったときにホールで外国人の人たちが踊っていたときの曲でした。仮縫いのこととか忘れてるお母ちゃんが愛しくてたまりません。

2.クリスマスケーキがバーンってひっくり返される小原呉服店最後の父娘バトル。Twitterの実況ではメイクか本当か意見が割れてましたがあれは本当にお父ちゃんの手のあとだったのではないかと私は思いました。アップで糸ちゃんの横顔を映してるうち少しずつほおの赤みが増していったように感じたし。あれは尾野さんが小林さんに「本気でぶってほしい」と言って実現した場面で「ほかの人は知らされていなかったのでテンションがあがってよい場面になりました」って書かれてあったけど…

妹ら本気で怯えてぎゃん泣きしてるし!(汗 返り血ならぬ返りクリームを浴びたおばあちゃんとお母ちゃん、おばあちゃんが包丁を使ってひょいっとケーキを元に戻して「食べれる、食べれる」と言い、お母ちゃんがケーキは糸子が最初に食べなさいと言ってお箸とケーキを渡すと、糸ちゃんの手がブルブルと震えている。

3.生地店が繁盛してたいへんになっちゃうラストシーン。「たてたてたて、よこよこよこ」は桝谷パッチ店で窓の磨き方は「タテタテ、ヨコヨコ」と教えられたときからのだし、大繁盛で終わるときにいつもお店のまわりにいるネコが「ニャー」っていって終わって笑い死ぬかと思いました。

サントラは「龍馬伝」でちょっと過剰だったな~って思ってた佐藤直紀ですが意外と朝らしい感じ、はつらつとした音楽がたくさんあって、好きです。やっぱり糸子が「やったるでー!」ってなるときのドン、ドンドドンドンって太鼓の音から入る祭囃子風の曲が好き。きょうもがんばろうって思わされます。

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それなりに思い入れをもって観た朝ドラマにいくつかは残念な結末になったこともいくつかあるので盛り上がりもこれくらいにしとこうと思いますが、すでに絶賛系のヲタさんたちが散見されていてちょっと怖いです。Twitterで感想ツイートしたらフォローされて、フォロー返したらTLがその人がリツイートしたカーネーション関連のツイートで埋まって恐ろしくなってフォロー外しました…。

何ごともほどほどにせんとあかんなと感じた次第。ともあれ、最後まで「らしい」ドラマを作ってほしいなと思います。

コメント

NHKよろしくですね

keiさんこんばんは。

窪田くん、QPはもちろんチェックしてなかったし「下流の宴」も途中で黒木瞳のウザさと加藤夏樹のバカさに脱落しちゃったので成長確認できずでした…。来年の「清盛」って清盛が死ぬとこまでやるのかどうかわからないのですが、不肖の息子たちがいるわけなので窪田くんこないかな~とか勝手に妄想しております。童顔なので美少年シリーズで染谷将太くんとかと一緒にこい!とかwww

楽しみがあるっていいですよね~。

おひさしぶりです!

viviさまもおひさしぶりです~

いつもブログ拝読させていただいているのですけれどコメントする機会がなかなかなくて。
先日の築地市場訪問のときは「おおお、近所だ近所!」って思いながら観ていました。

バタークリームのケーキだとあとのもろもろもたいへんだったのでしょうかね。確かに私の子どものころもまだバタークリームのケーキが多くて実はクリスマスケーキってちょっと…って幼心に思ってたの思い出しました。

物語がいま戦争の重いパートで日々考えさせられています。

再びこんばんは

rukoさん。

シャドウは私もフミ君と部長パートは苦手です(^^;

QPはそうなんです。窪田くんアイテムです。でもびっくりするくらい出てこないんですが(笑)

彼は、連ドラで見たいんですよね。夏頃「下流の宴」に出てたんですけど、彼ほど作品の中で成長する役者は
見たことないな~と改めて思いました。この役がまた全然変わらない(成長しない)役だったんですけど、
窪田くん自身の成長は恐ろしい程でした・・・ファンの目ですけどね~。
今の所連ドラのメインなんてやらせてくれるのはNHKくらいなので、また呼ばれるといいなと思います。

お久しぶりです。

ゲゲゲの後のおひさまはスルーして今回のカーネーションには、ずっぽりはまっています。

こんなに詳しく書いて下さって、そう、そうとうなずきながら読みました。
全て拍手です

ケーキの場面のおばあちゃんのケーキをひっくり返すところ、よかったですねえ。
あの当時はバタークリームのケーキしかないと思うのに、生クリームのケーキが使われていて、一人突っ込みました。

「赤い糸」という本も読んでみました。
今後の展開は92歳まで描くのでしょうか?

ありがとうございます!

keiさーん!覚えててくださってうれしいです(感涙)

なんとか、平凡でも日常を積み重ねていくことが大切なのだ、ただ、自分の頭で考えることは忘れずに、と思っている今日この頃です。

>>渡辺あやさんの仕事にハズしはない

そう期待したいですね。地方で暮らして地に足の着いた暮らしをされているようなのも好感がもてますし。

連ドラ、シャドウも嫌いじゃないですね~。ただ石田ゆり子がつらくなってきました…

QP、ドラマの存在すら知らずググりました。窪田くんアイテムなのですね。NHKあたりでもうちょっとゴリっとした役もらって育ってほしいなあ。

観てます

rukoさん、再開されたんですねー。
お久しぶりです!
私もカーネーション面白くみています。

ドン、ドン、ドンドンドンって音楽がなり始めると盛り上がりますよね。
来るぞ来るぞーって感じで。
音楽って大事なんですよね。

ナレーションも面白いので、尾野さん大変だと思いますが、頑張ってほしいなと思います。

渡辺あやさんの仕事にハズしはない、という結果に終わって欲しいと願っております^^

連ドラ、私はベム、11人、シャドウを面白く観てます。
あとQPもね(^^;

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