▼ 語録戦中編 カーネーション〈9~13週〉
勘助(尾上寛之)の喪に服しているうちにあれよあれよという間にもう最終回が近づいて来ている「カーネーション」。年をとった糸子が尾野真千子から夏木マリに交代して物議を醸しましたがそれもこれも人気があって観られている証拠ですよね。
少なくとも私の周囲でこれほど朝ドラが話題になったのって前回いつだっけ?って思い出せないくらい知人友人の視聴率高いですもんね。
というわけで、もう終わっちゃうっていうのに何ですがちょと時間ができたので、糸子の戦争を振り返ってみたいと思います。物語のかなり後半になっても戦争にまつわる描写でTwitterなどで「反日」とか「自虐史観」など言われたのは残念。戦争なんて洋の東西を問わず古代から加害行為と被害行為が表裏一体ですよね。だって人が人を殺すのが戦争ですもの。日本人が加害行為をはたらいたということが即「反日」であるというような論調は、硬直してないかなぁって感じます。
以下、9週「いつも想う」から糸子が戦争に対してどんな気持ちをもっていき、それが近しい人たちを喪っていくことでどう変わっていくかを表現したいくつかの印象的な場面を思い出していきたいとおもいます。
===以下引用続きます(長いです)===
少なくとも私の周囲でこれほど朝ドラが話題になったのって前回いつだっけ?って思い出せないくらい知人友人の視聴率高いですもんね。
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というわけで、もう終わっちゃうっていうのに何ですがちょと時間ができたので、糸子の戦争を振り返ってみたいと思います。物語のかなり後半になっても戦争にまつわる描写でTwitterなどで「反日」とか「自虐史観」など言われたのは残念。戦争なんて洋の東西を問わず古代から加害行為と被害行為が表裏一体ですよね。だって人が人を殺すのが戦争ですもの。日本人が加害行為をはたらいたということが即「反日」であるというような論調は、硬直してないかなぁって感じます。
以下、9週「いつも想う」から糸子が戦争に対してどんな気持ちをもっていき、それが近しい人たちを喪っていくことでどう変わっていくかを表現したいくつかの印象的な場面を思い出していきたいとおもいます。
===以下引用続きます(長いです)===
【昭和12年】
(出征した勘助からの手紙が軍の検閲で墨塗りだったのが、最初の違和感。)
糸子「ほんま、あの墨、許せん」
(独)人のはがきを勝手に塗りつぶす。その胸くそ悪い墨みたいなもんは、その後も、うちらの生活をちょっとずつ塗りつぶし始めました。
【昭和14年】
(国家総動員法発令、綿製品の生産に規制がかかって戦時体制になっていき…神戸の松坂家も戦時体制に組み込まれ、軍需品生産に同意するか合併してなくなるかの二者択一に…。)
貞子(十朱幸代)「私はいやや。なんでや。なんで、松坂紡績が軍服なんかつくらなあかんのや。そんなことしたら、おじいさま、おとうさまに申し訳がたてへん。『しょうもないことしよって』言うてお墓の中でお泣きになるわ。(略)軍服なんか嫌いや。あんなカメムシみたいなぶっさいくなもん、ウチの会社は死んでもつくりません!」
(そんな松坂家でいたたまれなくなって岸和田に帰る途中に産気づいて直子=ジュンコ を出産)
(勘助が働いていた菓子店の店頭からもきんつばや栗まんじゅうが消えたのを知り)
(独)国民から栗まんじゅうまでとりあげるようなみみっちいことで日本はほんま戦争なんか勝てるんか?
(「七七禁令〈ぜいたく禁止令〉が出て100円以上の服はつくれないことに)
(独)上等や。受けてたっちゃる。うちは100円以下でできるかぎりのええ服を、バンバンこさえちゃりました。
このころ、直子の「猛獣」問題が勃発。ギャン泣きが見事な子役ちゃんでしたね。それと昌ちゃん(玄覺悠子
)の「先生、ええかげんにしてください!」がこの辺から本格化してきたw
(ぜいたく禁止令にひっかかって売れなくなった金糸入りのグレーの生地100反を買い取ることに。この布の捌きかた、口コミの使い方見事で爽快だったけれどこういうエピソードがだんだんなくなっていくんですよね。
【昭和16年】
(「ぜいたくは敵だ」な流れからパーマネントへの風当たりが強くなり)
八重子(田丸麻紀)「もう、やめよか…パーマネント。子どもらも学校でいろいろ言われてるみたいやし、うちがパーマネント始めたばっかりに、みんなに辛い思いさせてるのが申し訳…」
玉枝(濱田マリ)「アホか!あんた、まだそんな甘っちょろいこと言うてんけ。パーマネントやめて、どないしてこの店続けていくんよ。また髪結いだけに戻れると思うてんの。店一軒守るいうんはたいへんなことや。大変で当たり前なんや。ええときもあれば辛いときもある。ええときに調子にのんのはあかんけど、辛いときにくじけんのもあかんねん。よう覚えとき」
(中国から勘助が除隊して戻って来るが、お帰りなさいの会にも顔を出さなくなっていました)
糸子「なんや、手も足もちゃんとついてるやんか。あんまり顔見せへんさかい、どえらいことになってるんか思うたわ。心配するやろ、顔見せにこんかい」
勘助「手も足も残ってるけどな……もっと、なくなったわ……心」
(そして12月8日、太平洋戦争開戦)
「終わるどころか、また始まりよった」
(開戦のニュースに「連合艦隊かてあるし!」とか騒いでるおっちゃんらの声を聞きながら)
(独)これは…あれと一緒やな。男がいったん勝負にのぼせ出したら、ちょっとやそっとやおさまれへん(略)戦争なんか、何がおもろいん。こっちははよまともな商売しとうてうずうずしてんや。勝つなり負けるなり、どっちゃでもええさかい、さっさと終わらんかい!
ここから大日本國防婦人会のめんどくさいおばちゃん(三島ゆり子)とのバトル勃発。
(独)い、今、口に出して言うたっけ。頭の中で思うただけやっけ!?
国防おばちゃん「今朝のニュース、お聞きになったことと思います。いよいよ、アメリカイギリスとの戦争が始まりました。我々女性も家庭を戦争とこころえ、銃後の守りに当たりましょう」
「銃後」っていう単語がすでにもうことえりでは変換できないんだけど(汗
(もんぺ履かないことが「不謹慎」と言われ)
糸子「くそ、あのおばはん、鬼の首でもとったような顔でぬかしおって!」
(地味なもんぺの見えない部分に華やかな生地を使った客との会話)
糸子「ほんまやな、戦争だからいうて、ちびったらあかんな。戦争中には戦争中のおしゃれ魂見せなあかんな」
【昭和17年】
(勘助が菓子店に働きに出たときき、励ますためにサエ〈黒谷友香〉を呼んで勘助壊れる)
玉枝「勘助に何した。糸ちゃん、あんた勘助に何してくれたんや。さっき、2階から飛び降りようとしよったわ。やめてくれ。糸ちゃん、あんた、金輪際、勘助に会わんといてんか!あんなぁ糸ちゃん。世の中ちゅうのはな、みぃんなが、あんたみたいに強いわけちゃうんや。あんたみたいに勝ってばっかしおるわけちゃうんや。みんなもっと弱いんや。もっと負けてんや。うまいこといかんと悲しいて、自分がみじめになんのもわかってる。せやけど、生きていかないかんさかい、どないかこないかやっとんねん。あんたにそんな気持ちわかるか。
商売もうまいこといって、家族もみいんな元気で、結構なこっちゃな。あんたにはな、なあんもわかれへんわ。どないか働きに出れるようになったのに…。ここまでどれだけうちらがどんだけ神経すり減らしてきたか。あんたには想像つけへんやろ。今の勘助に、あんたの図太さは毒や。頼むさかい、もううちには近づかんといて」
(八重子さんがフォローにきたけど、行き場のない気持ちをぶつけてしまう)
糸子「そやけど、うちはお宅らの身内とちゃうさかい。辛抱する筋合いないわ。おばちゃんな、多分、うちが店繁盛させてんのが目障りなんや。勘助の世話焼くのも鬱陶しくてしゃあない。たのむから近づかんといてくれ、て、おばちゃんがうちにそないに言うたんや。うちが堪忍するかどうかの話ちゃう。近づくなと言われたんやさかい、うちは金輪際近づかない」
さすがに落ち込むけど、昌ちゃんとのやりとり、階段落ちと深刻にならなさすぎてほっとしました。
糸子「悪いけどな、うちは負けへん。戦争にも、貧乏にも、勝って勝って勝ちまくるんや。嫌いたかったら嫌うたらええ。なんぼでも嫌うてくれ」
縫い子9人+男の子2人を抱えて奮闘が続く糸ちゃん。衣料品を買うには「衣料切符」が必要で点数制で買い物をし、配給所に申告する仕組みになっていた。もう衣類が捨てるほど売られているいまは想像できない…
(仕入れが安いので人絹〈じんけん=化繊〉を仕入れようかという勝〈駿河太郎〉に)
糸子「ああ、せやねんけどな、うち、人絹嫌いやし。安うても、どうせお客さんが着てるうちにあかんようになってしまうわ。あかんてわかってるもんを、薦める気にはなれへんわ」
(3人目の子を妊娠した糸ちゃんだけど、夫の勝は「夜釣り」と称して夜の外出が増えます。でも当然の疑問を抱く昌ちゃんに)
糸子「めんどくさい。夜釣りや言うてんやさかい、夜釣りでええやんか!」
珍しく口紅をさすなど女らしい一面を見せた糸ちゃんだけど、勝さんに赤紙。そして浮気確定w
(独)世の中では食べ物がないっちゅうて大騒ぎしてます。そやけど、ウチはお金のかわりに食べ物をおいていってくれるお客さんらのおかげで、全然不自由していませんでした。
(トンカツを揚げている糸子に)
ハル「あんた、それブタやんか。なぁ、ほな、どこで買うてきたん。ヤミだけはやりなや。人に知られたら、えらいこっちゃで」
(涙の出征の別れがあったけど、戻って来た荷物の中から菊乃さんとのツーショット発見し、大激怒)
(独)要するに、や。うちは女として好かれちゃったわけちゃうんや。ただの稼ぎ手として見込まれちゃっただけや。ほっといてもヨメはせっせと稼ぎよる。せやさかい自分はなんぼでも外でべっぴんと遊べる。ほんで、うちを大事にしてくれちゃった。そんだけや。
勝さん大好きなお父ちゃん(小林薫)が「浮気のひとつやふたつ」とフォローしようとするけど、当然逆効果。
【昭和18年】
(ミシンの供出を言いに来た国防おばちゃんたちがおそろしいことを)
国防おばちゃんら「このたびはご主人の出征、まことにおめでとうございます。で、ご主人ですけど、2階で紳士服のご商売してましたね。ご自分のミシンで縫製もしてたと聞きました。ということはそのミシン、いまは使われてないいうことですね」
糸子「あ、いや、使うてます。あれはいるんです。供出できません」
国防おばちゃんら「今はお国の非常時です。そらミシンかて2台あったら便利かもしれません。けど、1台でもどうにかなるはずです。もともとはご主人だけが使うてたものでしょう」
糸子「そうですけど、戦争から帰ってきたときにあれがなかったら主人は仕事がでけへんようになります。勝手に供出することはできません」
国防おばちゃん「はあ?帰ってきたとき?小原さん。お宅、まだそんな低い意識でこの聖戦に臨んでるんですか。いやしくも日本の妻、夫を戦地に送り出したら、潔く遺骨になって帰ってくるのを願うべきやないんですか。死んでお国の役にたってこそ、旦那さんの値打ちちゅうもんです」
糸子「何?何このぉ!くそう!何が死んでこその値打ちじゃあ!」
そして、お父ちゃんにたいへんなことが…。千代さん(麻生祐未)の悲鳴というか叫びというかリアル過ぎてもう夢に見そうでした。お父ちゃんの一件があってからハルおばあちゃんががくっと衰えたのも悲しかったし、こういうもんなんだよなぁって思わされました。
そして商売や生活面では究極の現実主義者である糸ちゃんが、火事を見てしまったことをわりと長い時間気に病むというのが意外でした。
「妊婦が火事を見たらお腹の子にあざができる」という迷信。私知らなかったんですけどわりと有名な迷信みたいですね。
お医者さん「医学的に有り得んこっちゃ。余計な心配させちゃったらあかん。あんたはその身体で、ようお父ちゃん助けた。しょうもないこと心配せんと、元気な子を産み」。
そして家の中がぐちゃぐちゃになった後片付けしてたら陣痛。
糸子「静子、おばあちゃんの布団、お父ちゃんの隣に敷くんやで!」
静子(柳生みゆ)「え?お父ちゃんの隣?」
糸子「そや、こっちの部屋、うちがいまからお産で使うさかいな」
静子「は?お産?いまから?」
いやもう壮絶すぎて…。昔の女性は本当に強かったんですね…。
(独)なんでもかんでも自分ひとりの力でやってきたつもりでいちゃあったけど、どんだけまわりに助けてもうちゃったかというとが、こんな風になってみて初めてわかりました。
なんとか3人目をぶじに出産したのはいいけど、ここからが糸ちゃんの本当の戦争。
(独)日がな一日、赤ん坊は泣く。直子は暴れる。お父ちゃんはかんしゃくおこす。お母さんはめそめそ。おばあちゃんはよろよろ。
糸子「こっちまでガタきてまいそうや」
弱った糸ちゃんに敵機来襲。
国防おばちゃん「小原さん。1月に衣料切符の点数が引きあげられたん知ってますね。そやけどまだまだ贅沢です。銃後を守るにあたって我々は、もっと質素倹約につとめなあきません。小原さんもご商売柄、儲けのことしか頭にないかもしれませんけど、ここはしょうもない我欲なぞにおぼれず、むしろ、買い物に来た人々をいましめ、何も売らずに返すぐらいの、気概を見せてください!」
糸子「まぁ、こないだ、子ども産んだばっかしで、その前の日に火事があって、お父ちゃんが大やけどしてガラスが割れて畳が水浸しになっておばあちゃんが腰抜かして、おかげさんでいま家のなかガッタガタですわ」
国防おばちゃん「まぁ、そらたいへんでした。けどま、こう言うたらなんですけど、ふだんの心がけちゅうか、何事も因果応報、悪いことが続くときは、たいがい自分に原因があるもんです。ご自分をかえりみる、よい機会やないんでしょうか。お大事に」
↑マジキチでしょ…。震災のときの石原慎太郎のコメント思い出すわ…。
糸子「ちっ。さすがやなおばはん。そやけど、二度とうちの敷居またぐな言うちゃるわ!」
(独)絵の具を混ぜすぎたら灰色になるように、あんまりいろんなことがあって、このごろうちの目の前も灰色に見えます。
神戸のおじいちゃんとおばあちゃんが来てくれて名前の決まらなかった3人目の子が聡子と名付けられます。
貞子「あ、これか?ええやろ?大島や。私が持っとう大島のなかでいっちばんええやつ、もんぺにしたったんや。そらそのほうが、着るときにちょっとでもうれしいやろ。もんぺみたいに辛気くさいもんこそ、上等な生地でこさえなあかんねん。せやないと早く死んでまう。あんなぁ、辛気くさいいうんはなあ、バカにしたらあかんで。おっそろしい寿命縮める。あんたも年とったらわかる」
糸子「この部屋、よどみきってもうてるさかい、ちょっとたまったもん吹き飛ばそう。辛気くさいんは寿命縮めるんやて、おばあちゃん」
そして、貞子おばあちゃんの意見から「着物にもどせるもんぺ」を考えます。
糸子「おばあちゃんの話聞いて、うち、目からうろこ落ちたわ。もんぺこそ、ええ生地でこさえならん。ほんま、その通りじゃ。息子や旦那の出征ちゅうたら、やっぱし一張羅で見送っちゃりたいもんや。結婚式かて葬式かてそうや。お上は、もんぺを正装と認めるやらしょうもないおふれだしよったけど、女は内心、そんなもん認めてもうたかて何もうれしいないと思うてるわ。やっぱし女は、お洒落ができてこそ元気も出るもんや(略)要は、もんぺにすんのに、どうバラしたらええか。どないしたら、いちばん着物にハサミいれんで済むか。それ考え出したらまたお客さん店に呼べる」
(独)なんでも新しいことっちゅうんは、そんなにすぐに受け入れられるわけやない。第1回目のお客さんは8人定員のところ5人。けどおもろいことに、その5人はそろいもそろって(サエとか)この手の人らでした。若うて元気いっぱい。新しもん好きの、おしゃれ好き。で、ごっつい負けん気強い。(略)せやけど、いったん話を始めたら、ごっつい熱心。しかも大胆。どんなええ着物にもどんどんハサミ入れていきます。
本当にホントに、ささやかすぎるお洒落だけれど、こうやって少しでも元気だそう、こんな状態でも前に進もうっていうみんなに元気をもらえる場面でした。
(もんぺ教室にはいろんな人が。糸ちゃんの最初のころからのお客さん〈中村美律子〉)
「うっとこも、3人目の息子があさって出征やし。ほんでな、このもんぺ教室の話聞いてあわてて来たんやわ。ちょっと見てこれ。入学式やら卒業式やら、よう着た着物やさかい、これ着て見送っちゃりたい思うてな」
(泰蔵にいちゃん〈須賀貴匡〉の出征を控えた「絶交中」の八重子さん)
八重子「泰蔵さんが、あさって出征することになりました…せやから、見送っちゃるためのもんぺを、ここで糸ちゃんに教わってつくりたかってん。厚かましいかも、しれへんけど、一緒に見送っちゃってもらえませんでしょうか。お母さんも、勘助ちゃんも、たぶんよう見送らんと思うねん。泰蔵さん、辛いと思うんやし。いまどき、見送りはそないに派手にしたらあかんやろうけど、せめて、戦地で思い出したときに、ちょっとは明るい気持ちになれるような、ええ想い出つくっちゃりたいなと思って…。糸ちゃん、一緒に見送っちゃってもらわれへんやろか」
糸子「ええの?勘助に、あんなひどいことしてしもたのに?八重子さんに、あんなひどいこと言うてしもたのに、うちが泰蔵にいちゃん見送ってもええの?なんで八重子さんが謝るん?ごめんな、はうちや。ごめんな、八重子さん。ごめんな」
(泰蔵にいちゃんの出征を無理して見送り、お父ちゃんの体調は悪化)
(独)看病、子ども、家事、商売。どれもこれも、この先どないしたもんか。
(「令嬢世界」などの切り抜きをまとめた本が出てきた、と八重子さんがもってきて)
(独)人が、こんな洋服を着れてたころが、確かにあったのに、今ではどっか、他所の国の話のようでした。
(体調が少し戻ったお父ちゃんが温泉にいくと言い出して国民服を新しくつくり、水筒にお酒を入れてもたせた糸ちゃん。帳簿の裏表紙に「オハラ洋装店 店主 小原糸子」とお父ちゃんの字で書かれたのを見つけます…そして)
木岡のおばちゃん「あ、そや、あれ?あ、そや、おばさんいまな、温泉いってんのに、なんでや?うちいま、しゃべっちゃったが。あ『糸子を、よろしゅう頼む』て」。
(独)温泉旅行に行ったはずのお父ちゃんが、お骨になって戻ってきました。
糸子「ちゃんと祭壇組んでやんで!お金の心配なんかしてる場合ちゃうやろ。お父ちゃんの葬式やで。何があったかて、きっちり立派なもん出さな。出さんでどないすんや!」
徳大寺の娘さん「小原のおっちゃんには、うち、小さいころからべっぴんさん、べっぴんさん、て呼んでもうちゃったんです。子ども心にお世辞やわ!って思っとったかて、なんややっぱりうれしいて、おっちゃん来んの、よう楽しみにしてました」
木岡のおばちゃん「おばちゃんもあんなん初めてや。こわいことあるかいな。そん時は知らんかったけど、ふっと見たらあんたらのお父ちゃんが毎度!ってニコニコしながら入って来ただけやからなぁ。小原さんな『いやぁほんでも、奥さんにもよう世話になってるな。これからも、よろしいに頼むで。うっとこの糸子は、馬力だけのアホやさかい。』とにかく糸子を頼むで、ばっかし言うてなぁ」
(ってお葬式きっちりやったのはいいけど、町内の人たちが台所に入り、実は代金のかわりにもらっていた食料が豊富にありすぎることでヤミに手を出してることになってしまう。配給を受けにいっていなかったことも、疑惑の目を向けられる結果に…。お約束の「非国民」嫌がらせとか。
不思議なのは、木岡のおばちゃんや木之元の奥さんは、小原さんちの台所事情知らなかったのかなって…何かフォローすること言ってあげられなかったのかな…って。いつももらってたお野菜やら何やら、どうやって入手してたって思ってたのか。そのうえ昌ちゃんまで、先生はホンマにヤミやってないんですかとか……ここの一連の描写がちょっと不思議でした。)
糸子「やってへんわ!!やるかそんなもん!うちにヤミなんかでけたら、こんなアホみたいに朝から晩まで働くかいな。ヤミやらなあかんくらいやったら、あんたらなんかとっとと里に帰してるわ!なんであんたらまで食わすために、うちが罪おかさなあかんねん」
(独)世間ちゅうもんを、うちはなめてたかもしれません。うちが思うてるより、もっともっと怖いもんなんかもしれません。
(そしてちょっと前までこの世の終わりみたいに泣いてたお母ちゃんが急にいつものマイペースな人になってすいとんつくった場面にほっとして)
(独)配給を遠慮して行けへんかったんもホンマや。けど、やっぱしそんだけとちゃう。意地もあった。ウチのもんを、あの列に並ばさんことで、うちは自分を特別やて思おうとしてた。うちには、そんだけの甲斐性があるんやて、思いたかったんや」
(木之元の奥さんがきます)
奥さん「もう店開けてんけ…せや、あんな、明日、野菜の配給があるんやて。あんな……、うち、行くさかい、糸ちゃんも一緒にいこや。その、糸ちゃんとこは食べもんぎょうさんあるさかい、行かんでええかもしらんけど…おいしいで配給のもんかて。な、行かへんか」
(もう超泣きました。戦争編は連日泣きまくってたけど、たぶんこのドラマのなかで泣いたトップ3くらい。非国民て言われてる人のこと誘って、一緒に配給行こうって…。今まで地味な存在だったのにその勇気はふつうの何倍も必要なことだとわかるので、もう泣けてなけて仕方ありませんでした)
(独)疑いっちゅうもんは、いっぺんかかったら、そない簡単に晴れへんのかもしれん。ほんでもやっていける。うちを信じていけるこの人らは、お父ちゃんが遺してくれた宝物です。
(って、少し反省したところでまた敵機来襲。ミシンの供出にどう対抗するか、で、お父ちゃんのお葬式にきてくれた木岡のおっちゃんの弟のことを思い出し「カメムシ」軍服の下請けをすることになり、ミシンが守られました。すっかり援助の提案を忘れてた糸ちゃんが、優子の髪をおかっぱにしてそれに抗議した優ちゃんがあちこち走り回ってるうちに再度木岡さんの弟に遭遇、その件を思い出す巻き戻し場面で少し笑って。)
国防おばちゃん「いまこの日本で、おしゃれなんかにのぼせあがってる暇がどこにあるんですか。自分だけが戦争になんも関係ないような顔して。お宅のこのミシン、供出してもらいます。明日いただきにまいりますさかい。戦地では、兵隊さんたちが命をかけて闘うてるんです。ミシンなんて、こんなところで何の価値もないことに使われるなら、銃なり弾なりに使われたほうがよっぽどうれしいちゅうもんや」
糸子「待ってください。お客さんには、うちからよう頭下げさせてもらいますよって、お宅らはどうぞお帰りください。ええからはよ帰ってんか!!ご苦労さんでした」
昌ちゃん「どこの組のもんや…。ほんま、あんたらの姉ちゃん、どっかで修行したことあるんちゃうか。素人ちゃうで、あのドス………。そやけど、ほんまにミシン取られたら店どうなるんやろ。えらいこっちゃな」
糸子「ぐん、ぐん、軍服!つくらせてください!」
意気揚々とミシンを没収にきた国防おばちゃんら、ざんねーん!
昌ちゃん「きょうからうっとこ、軍隊さんのもんをつくることになりました。お国のためにミシンを使えて、幸せなことです。ちっこい所帯ですよって、どんだけお役にたてるかわかりませんけども、せいぜい頑張らせてもらいます」
国防おばちゃんたちの詭弁というかいまどきの言葉で言うなら「パワハラ」、酷いわ。
(独)お父ちゃん、ミシン、どないかなりそうです。お父ちゃんが教えてくれへんさかい、うち、自分でどないかしてんで…(逆まわし)。やっぱし、お父ちゃんか……
そして戦争の色はますます糸ちゃんのまわりを埋め尽くしていきます。
優子「お母ちゃん。優子はお外で、軍事教練をしてきます!い っ て ま い り ま す !」
まだ小学校1年生なのに…
(独)このごろは、もう商店街のほとんどの店がしまり、配給もどんどん減ってきました。いまや食べ物は、どないかして自分らで手に入れんならんもんです。
(戦争映画を観にいった帰り道)
糸子「直子、よう考えたらあんたなんか生まれてこのかたずっと戦争やさかい、なんもきれいなもん見たことないな」
(「アカ」が親子の目の前で捕まって)
直子「アカってなに?アカってなに?」
糸子「優子、赤に白まぜたら何色になる?(桃色)もっと足したら?(桜色)ほな、ちょっと青足したら?」
っていうこの会話も泣けた…そして、チビ直子が怪演。
【昭和19年】
(独)八重子さんが、この春からうちで働くことになりました。安岡髪結店は、結局パーマ器を供出させられて、店をしめなあかんようになったそうです。
八重子さん「そやけど、うちも困ってんやし…。太郎が、海軍に行きたいやら言い出してな。このごろ中学校が、陸士やら海兵やら、まぁそら熱心に子どもらに薦めるよってな」
糸子「かっこええて勇ましいて、兵隊さんちゅうたら、そら子どもたちにはだんじりの大工方みたいに見えるんやろな」
奈津の料亭も時勢にさからえず営業できなくなってしまう。糸子に買い取ってほしい、とあくまで高飛車な奈津だけど…借金が1万円。
糸子「1万円?借金が?あんた、1万円も借金ためてしもたんか!あ、アホか。そこをどないか知恵絞ってどうにかやりくりするのが女将の仕事やろ。あんた、何やってんねん。なんでこんななる前に手打たへんかってん。1万円、1万円て…」
まぁもんぺ教室の教材が1人2円だったこと考えたら当時の1万円ってね……。そして奈津は夜逃げからお約束の転落となっていく。
八重子「せやけど、あほや、っちゅうたらかわいそうや。お父ちゃんも早う亡くなって、旦那さんも逃げてしもて、お母ちゃんもまた、身体弱いやろ。奈津ちゃん、誰にも頼ることできんと、たった1人であの店守ってきたんやし」
そして、だんじり祭までが中止。
(独)いうたら、燃料が切れてもうたんです。あの大きいて、重い重いだんじりが走るには、ぎょうさんの男の手と足、それもしっかりご飯食べて、骨と肉のみっちりしたのが揃うてんとあかんのに…
糸子「それが、みんな戦地とっていかれて、こんな貧相なズボン下はかされたあげくに、サイパンで吹き飛ばされたりグアムで燃やされたりしてんやんな」。
(独)子どもらは、学校で人の殺し方と、自分の死に方ばっかり教えられてて、国民はいつ死体になってもええような準備ばっかりさせられて…
勘助に2度目の召集令状が。ガミガミ縫い子たちを叱る糸ちゃんを優しい目で見守る勘助。
勘助「光ちゃん、久しぶりやな。糸やんも元気そうや。光ちゃん、糸やんをよう助けちゃってな。(糸子姉ちゃんに会わずに行くのかと聞かれ)会いたいけどな、俺にはな、資格がないんや、もう。そやけどそれも、やっとしまいや」
(独白)結局、最後に会うことも喋ることもでけへんまんま、勘助の葬式行列が出たのは、そのわずかひと月後のことでした。
勘助カンスケ叫びながら走る糸ちゃんにまた泣いて、まっすぐ前を向いた玉枝おばちゃんの葬式行列のラストに涙止まらずでした。サイパンやグアムが陥落した昭和19年の秋ということはたぶんフィリピン方面に送られる途中で輸送船がやられて死んでしまったのだと思うと…
前半のゆるくてヘタレでのんびりほんわかな勘助と糸ちゃんの場面があったので余計、勘助ちゃんの死が痛かったです。それも放送、世の中が浮かれきっているクリスマスイブでしたよね…。
このドラマの特殊なつくりは大胆にどんどん登場人物が入れ替わってしまうこと。出征していった男の登場人物は誰ひとりかえらなかったですよね。勘助も同級生の平吉くんも。
(独)とんびしか飛んでなかった岸和田の空に、いかついもんが飛び始めました。昭和19年暮れ、アメリカの飛行機が何度も内地を空襲していくようになりました。
【昭和20年】
貞子「姫路の奥に、うちの山荘があるの知ってるか。おばあちゃんのお父様が、夏の避暑のために建てたもんやけどな。そこへしばらく疎開しようかと思うてな。この年になってこの家離れるのもホンマにつらいんやけどなぁ。おじいちゃんもあんな調子やろ。いざいうことになったら、怖いからな…。ま、そやから、しばらくは、姫路の小山で花でも摘んでようか、思うてな」
(独)この人らにも、またもっかい会うことができるやろか。
貞子「糸子、あんた、生き延びや。必ず、かならず、また顔見せてな」
糸ちゃんは心斎橋百貨店で洋服の制服をつくったときから新聞よく読んでたので、空襲の情報も新聞から得ています。
糸子「『特徴は焼夷弾を主体としたことで、敵は今後も重要工場施設のみでなく、市街地に猛爆を行うことも考慮する必要がある』」
光子「焼夷弾、ってどんなん?」
昌ちゃん「燃やすやつや。バラバラおちてきて、家やら建物やらどんどん火つけるんや」
(独)敵は思ったよりえげつないことしよる、ちゅうことにやっとみんなが気づいて。それから町内でも盛んに防火訓練が行われるようになりました。せやけど、ほんまにこんなんでどないかなるんやろか。
そしてついに岸和田にも空襲が…これだけ読んでて、サイレン鳴ったらみんな本当に怖かったと思います。今でいうなら緊急地震速報が鳴って怯えるのが少し似ているのかも…
糸子「逃げな。防空壕やで。防空壕いくで!」
縫い子ちゃん「先生待って下さい。トメちゃんが。よう逃げん、ちゅうんです」
トメ「イヤです。うち、よう逃げません。いやぁ怖い怖い!いやです!もううち燃やされてもええです。逃げたないんです」
ハル「うちがいといちゃら。うちが、一緒に、いといちゃる!」
トメ「先生、すみませんでした。うちも逃げます。ハイ。おばあちゃん、燃やすわけにはいきません、うっうっ」
(独)あ、そや。お父ちゃんの位牌と写真、持ってくるの忘れた!けどしゃあない。堪忍や、お父ちゃん。縁があったら、また会おうな。
(防空訓練)
国防おばちゃん「B29は130機もいてるんや。暢気に貧血なんか起こしてたら焼かれてしまう言うてるんや」
(独)せや、B29が130機いてるちゅうんに、バケツの水なんぞなんぼ撒いたところで、らちあくかいな。
そして、嫌がるおばあちゃんとお母ちゃん、子どもたちを「山中町」に疎開させ、縫い子さんたちをどうするか算段します。そして戦争も末期。
(独)警戒警報は、日増しに増えてきました。6月に入ってからは朝昼晩ひっきりなしになって…夜はろくに寝られんと、そやからっちゅうて、昼も休んでいるわけにいかん。言うてるうちに、梅雨に入ってしもて(略)ものが考えられへんようになってました。梅雨が明けたら、夏がきて、あっついお日さんの下を、毎日アメリカの飛行機が飛んでいきます。警報は最近、朝からひっきりなしで、なけなしの食べもんあっちへ運び、こっちへ運び。食べてへんし、寝てへんし。なんやもう、ものが考えられへんようになってました。
そして、勝さんが戦病死したという公報がきても涙すら出ない。もちろんお葬式は「歩く」簡易型に。
(独)とにかく食べてへんのと寝てへんのと、暑いんとうるさいんと…あっついなぁ。なんしか、ものが考えられません。言われるままに逃げて、言われるままに動いて、食べもん届ける。寝れるときに寝る。でも寝てられんと起きる。
泰蔵にいちゃんも、戦死。
(独)気持ちっちゅうんが、どっかにいってしもうたようで。けど、これはこれで楽や。悲しいっちゅうんはつらいし、つらいんは、しんどい。
神戸のお屋敷と工場も、燃える。疲れた糸ちゃんにだんじりのお囃子が聴こえてきて、幸せだったころのだんじり祭を、もう帰ってこないお父ちゃんや泰蔵にいちゃん、勘助に勝さんが浮かんできて思わずだんじりを見にいって号泣する場面も、辛かった。
長かった戦争が8月15日に終わります。昭和天皇の「玉音放送」が何いってるかよくわからなかった、っていうのはいつもの感じだったけれど、放送のあとラジオが沈黙していたっていうのは初めて知ったかも(演出か?)。
そして糸ちゃんの最初のひとことは
「さ、お昼にしようけ」。
いやね、朝BSプレミアムの7時半の回を観てたのですが、ホント泣いてしまって困りました。下手すると会社行く準備できてから2回目地上波で観てまた泣いてたりしたし。
(出征した勘助からの手紙が軍の検閲で墨塗りだったのが、最初の違和感。)
糸子「ほんま、あの墨、許せん」
(独)人のはがきを勝手に塗りつぶす。その胸くそ悪い墨みたいなもんは、その後も、うちらの生活をちょっとずつ塗りつぶし始めました。
【昭和14年】
(国家総動員法発令、綿製品の生産に規制がかかって戦時体制になっていき…神戸の松坂家も戦時体制に組み込まれ、軍需品生産に同意するか合併してなくなるかの二者択一に…。)
貞子(十朱幸代)「私はいやや。なんでや。なんで、松坂紡績が軍服なんかつくらなあかんのや。そんなことしたら、おじいさま、おとうさまに申し訳がたてへん。『しょうもないことしよって』言うてお墓の中でお泣きになるわ。(略)軍服なんか嫌いや。あんなカメムシみたいなぶっさいくなもん、ウチの会社は死んでもつくりません!」
(そんな松坂家でいたたまれなくなって岸和田に帰る途中に産気づいて直子=ジュンコ を出産)
(勘助が働いていた菓子店の店頭からもきんつばや栗まんじゅうが消えたのを知り)
(独)国民から栗まんじゅうまでとりあげるようなみみっちいことで日本はほんま戦争なんか勝てるんか?
(「七七禁令〈ぜいたく禁止令〉が出て100円以上の服はつくれないことに)
(独)上等や。受けてたっちゃる。うちは100円以下でできるかぎりのええ服を、バンバンこさえちゃりました。
このころ、直子の「猛獣」問題が勃発。ギャン泣きが見事な子役ちゃんでしたね。それと昌ちゃん(玄覺悠子
)の「先生、ええかげんにしてください!」がこの辺から本格化してきたw
(ぜいたく禁止令にひっかかって売れなくなった金糸入りのグレーの生地100反を買い取ることに。この布の捌きかた、口コミの使い方見事で爽快だったけれどこういうエピソードがだんだんなくなっていくんですよね。
【昭和16年】
(「ぜいたくは敵だ」な流れからパーマネントへの風当たりが強くなり)
八重子(田丸麻紀)「もう、やめよか…パーマネント。子どもらも学校でいろいろ言われてるみたいやし、うちがパーマネント始めたばっかりに、みんなに辛い思いさせてるのが申し訳…」
玉枝(濱田マリ)「アホか!あんた、まだそんな甘っちょろいこと言うてんけ。パーマネントやめて、どないしてこの店続けていくんよ。また髪結いだけに戻れると思うてんの。店一軒守るいうんはたいへんなことや。大変で当たり前なんや。ええときもあれば辛いときもある。ええときに調子にのんのはあかんけど、辛いときにくじけんのもあかんねん。よう覚えとき」
(中国から勘助が除隊して戻って来るが、お帰りなさいの会にも顔を出さなくなっていました)
糸子「なんや、手も足もちゃんとついてるやんか。あんまり顔見せへんさかい、どえらいことになってるんか思うたわ。心配するやろ、顔見せにこんかい」
勘助「手も足も残ってるけどな……もっと、なくなったわ……心」
(そして12月8日、太平洋戦争開戦)
「終わるどころか、また始まりよった」
(開戦のニュースに「連合艦隊かてあるし!」とか騒いでるおっちゃんらの声を聞きながら)
(独)これは…あれと一緒やな。男がいったん勝負にのぼせ出したら、ちょっとやそっとやおさまれへん(略)戦争なんか、何がおもろいん。こっちははよまともな商売しとうてうずうずしてんや。勝つなり負けるなり、どっちゃでもええさかい、さっさと終わらんかい!
ここから大日本國防婦人会のめんどくさいおばちゃん(三島ゆり子)とのバトル勃発。
(独)い、今、口に出して言うたっけ。頭の中で思うただけやっけ!?
国防おばちゃん「今朝のニュース、お聞きになったことと思います。いよいよ、アメリカイギリスとの戦争が始まりました。我々女性も家庭を戦争とこころえ、銃後の守りに当たりましょう」
「銃後」っていう単語がすでにもうことえりでは変換できないんだけど(汗
(もんぺ履かないことが「不謹慎」と言われ)
糸子「くそ、あのおばはん、鬼の首でもとったような顔でぬかしおって!」
(地味なもんぺの見えない部分に華やかな生地を使った客との会話)
糸子「ほんまやな、戦争だからいうて、ちびったらあかんな。戦争中には戦争中のおしゃれ魂見せなあかんな」
【昭和17年】
(勘助が菓子店に働きに出たときき、励ますためにサエ〈黒谷友香〉を呼んで勘助壊れる)
玉枝「勘助に何した。糸ちゃん、あんた勘助に何してくれたんや。さっき、2階から飛び降りようとしよったわ。やめてくれ。糸ちゃん、あんた、金輪際、勘助に会わんといてんか!あんなぁ糸ちゃん。世の中ちゅうのはな、みぃんなが、あんたみたいに強いわけちゃうんや。あんたみたいに勝ってばっかしおるわけちゃうんや。みんなもっと弱いんや。もっと負けてんや。うまいこといかんと悲しいて、自分がみじめになんのもわかってる。せやけど、生きていかないかんさかい、どないかこないかやっとんねん。あんたにそんな気持ちわかるか。
商売もうまいこといって、家族もみいんな元気で、結構なこっちゃな。あんたにはな、なあんもわかれへんわ。どないか働きに出れるようになったのに…。ここまでどれだけうちらがどんだけ神経すり減らしてきたか。あんたには想像つけへんやろ。今の勘助に、あんたの図太さは毒や。頼むさかい、もううちには近づかんといて」
(八重子さんがフォローにきたけど、行き場のない気持ちをぶつけてしまう)
糸子「そやけど、うちはお宅らの身内とちゃうさかい。辛抱する筋合いないわ。おばちゃんな、多分、うちが店繁盛させてんのが目障りなんや。勘助の世話焼くのも鬱陶しくてしゃあない。たのむから近づかんといてくれ、て、おばちゃんがうちにそないに言うたんや。うちが堪忍するかどうかの話ちゃう。近づくなと言われたんやさかい、うちは金輪際近づかない」
さすがに落ち込むけど、昌ちゃんとのやりとり、階段落ちと深刻にならなさすぎてほっとしました。
糸子「悪いけどな、うちは負けへん。戦争にも、貧乏にも、勝って勝って勝ちまくるんや。嫌いたかったら嫌うたらええ。なんぼでも嫌うてくれ」
縫い子9人+男の子2人を抱えて奮闘が続く糸ちゃん。衣料品を買うには「衣料切符」が必要で点数制で買い物をし、配給所に申告する仕組みになっていた。もう衣類が捨てるほど売られているいまは想像できない…
(仕入れが安いので人絹〈じんけん=化繊〉を仕入れようかという勝〈駿河太郎〉に)
糸子「ああ、せやねんけどな、うち、人絹嫌いやし。安うても、どうせお客さんが着てるうちにあかんようになってしまうわ。あかんてわかってるもんを、薦める気にはなれへんわ」
(3人目の子を妊娠した糸ちゃんだけど、夫の勝は「夜釣り」と称して夜の外出が増えます。でも当然の疑問を抱く昌ちゃんに)
糸子「めんどくさい。夜釣りや言うてんやさかい、夜釣りでええやんか!」
珍しく口紅をさすなど女らしい一面を見せた糸ちゃんだけど、勝さんに赤紙。そして浮気確定w
(独)世の中では食べ物がないっちゅうて大騒ぎしてます。そやけど、ウチはお金のかわりに食べ物をおいていってくれるお客さんらのおかげで、全然不自由していませんでした。
(トンカツを揚げている糸子に)
ハル「あんた、それブタやんか。なぁ、ほな、どこで買うてきたん。ヤミだけはやりなや。人に知られたら、えらいこっちゃで」
(涙の出征の別れがあったけど、戻って来た荷物の中から菊乃さんとのツーショット発見し、大激怒)
(独)要するに、や。うちは女として好かれちゃったわけちゃうんや。ただの稼ぎ手として見込まれちゃっただけや。ほっといてもヨメはせっせと稼ぎよる。せやさかい自分はなんぼでも外でべっぴんと遊べる。ほんで、うちを大事にしてくれちゃった。そんだけや。
勝さん大好きなお父ちゃん(小林薫)が「浮気のひとつやふたつ」とフォローしようとするけど、当然逆効果。
【昭和18年】
(ミシンの供出を言いに来た国防おばちゃんたちがおそろしいことを)
国防おばちゃんら「このたびはご主人の出征、まことにおめでとうございます。で、ご主人ですけど、2階で紳士服のご商売してましたね。ご自分のミシンで縫製もしてたと聞きました。ということはそのミシン、いまは使われてないいうことですね」
糸子「あ、いや、使うてます。あれはいるんです。供出できません」
国防おばちゃんら「今はお国の非常時です。そらミシンかて2台あったら便利かもしれません。けど、1台でもどうにかなるはずです。もともとはご主人だけが使うてたものでしょう」
糸子「そうですけど、戦争から帰ってきたときにあれがなかったら主人は仕事がでけへんようになります。勝手に供出することはできません」
国防おばちゃん「はあ?帰ってきたとき?小原さん。お宅、まだそんな低い意識でこの聖戦に臨んでるんですか。いやしくも日本の妻、夫を戦地に送り出したら、潔く遺骨になって帰ってくるのを願うべきやないんですか。死んでお国の役にたってこそ、旦那さんの値打ちちゅうもんです」
糸子「何?何このぉ!くそう!何が死んでこその値打ちじゃあ!」
そして、お父ちゃんにたいへんなことが…。千代さん(麻生祐未)の悲鳴というか叫びというかリアル過ぎてもう夢に見そうでした。お父ちゃんの一件があってからハルおばあちゃんががくっと衰えたのも悲しかったし、こういうもんなんだよなぁって思わされました。
そして商売や生活面では究極の現実主義者である糸ちゃんが、火事を見てしまったことをわりと長い時間気に病むというのが意外でした。
「妊婦が火事を見たらお腹の子にあざができる」という迷信。私知らなかったんですけどわりと有名な迷信みたいですね。
お医者さん「医学的に有り得んこっちゃ。余計な心配させちゃったらあかん。あんたはその身体で、ようお父ちゃん助けた。しょうもないこと心配せんと、元気な子を産み」。
そして家の中がぐちゃぐちゃになった後片付けしてたら陣痛。
糸子「静子、おばあちゃんの布団、お父ちゃんの隣に敷くんやで!」
静子(柳生みゆ)「え?お父ちゃんの隣?」
糸子「そや、こっちの部屋、うちがいまからお産で使うさかいな」
静子「は?お産?いまから?」
いやもう壮絶すぎて…。昔の女性は本当に強かったんですね…。
(独)なんでもかんでも自分ひとりの力でやってきたつもりでいちゃあったけど、どんだけまわりに助けてもうちゃったかというとが、こんな風になってみて初めてわかりました。
なんとか3人目をぶじに出産したのはいいけど、ここからが糸ちゃんの本当の戦争。
(独)日がな一日、赤ん坊は泣く。直子は暴れる。お父ちゃんはかんしゃくおこす。お母さんはめそめそ。おばあちゃんはよろよろ。
糸子「こっちまでガタきてまいそうや」
弱った糸ちゃんに敵機来襲。
国防おばちゃん「小原さん。1月に衣料切符の点数が引きあげられたん知ってますね。そやけどまだまだ贅沢です。銃後を守るにあたって我々は、もっと質素倹約につとめなあきません。小原さんもご商売柄、儲けのことしか頭にないかもしれませんけど、ここはしょうもない我欲なぞにおぼれず、むしろ、買い物に来た人々をいましめ、何も売らずに返すぐらいの、気概を見せてください!」
糸子「まぁ、こないだ、子ども産んだばっかしで、その前の日に火事があって、お父ちゃんが大やけどしてガラスが割れて畳が水浸しになっておばあちゃんが腰抜かして、おかげさんでいま家のなかガッタガタですわ」
国防おばちゃん「まぁ、そらたいへんでした。けどま、こう言うたらなんですけど、ふだんの心がけちゅうか、何事も因果応報、悪いことが続くときは、たいがい自分に原因があるもんです。ご自分をかえりみる、よい機会やないんでしょうか。お大事に」
↑マジキチでしょ…。震災のときの石原慎太郎のコメント思い出すわ…。
糸子「ちっ。さすがやなおばはん。そやけど、二度とうちの敷居またぐな言うちゃるわ!」
(独)絵の具を混ぜすぎたら灰色になるように、あんまりいろんなことがあって、このごろうちの目の前も灰色に見えます。
神戸のおじいちゃんとおばあちゃんが来てくれて名前の決まらなかった3人目の子が聡子と名付けられます。
貞子「あ、これか?ええやろ?大島や。私が持っとう大島のなかでいっちばんええやつ、もんぺにしたったんや。そらそのほうが、着るときにちょっとでもうれしいやろ。もんぺみたいに辛気くさいもんこそ、上等な生地でこさえなあかんねん。せやないと早く死んでまう。あんなぁ、辛気くさいいうんはなあ、バカにしたらあかんで。おっそろしい寿命縮める。あんたも年とったらわかる」
糸子「この部屋、よどみきってもうてるさかい、ちょっとたまったもん吹き飛ばそう。辛気くさいんは寿命縮めるんやて、おばあちゃん」
そして、貞子おばあちゃんの意見から「着物にもどせるもんぺ」を考えます。
糸子「おばあちゃんの話聞いて、うち、目からうろこ落ちたわ。もんぺこそ、ええ生地でこさえならん。ほんま、その通りじゃ。息子や旦那の出征ちゅうたら、やっぱし一張羅で見送っちゃりたいもんや。結婚式かて葬式かてそうや。お上は、もんぺを正装と認めるやらしょうもないおふれだしよったけど、女は内心、そんなもん認めてもうたかて何もうれしいないと思うてるわ。やっぱし女は、お洒落ができてこそ元気も出るもんや(略)要は、もんぺにすんのに、どうバラしたらええか。どないしたら、いちばん着物にハサミいれんで済むか。それ考え出したらまたお客さん店に呼べる」
(独)なんでも新しいことっちゅうんは、そんなにすぐに受け入れられるわけやない。第1回目のお客さんは8人定員のところ5人。けどおもろいことに、その5人はそろいもそろって(サエとか)この手の人らでした。若うて元気いっぱい。新しもん好きの、おしゃれ好き。で、ごっつい負けん気強い。(略)せやけど、いったん話を始めたら、ごっつい熱心。しかも大胆。どんなええ着物にもどんどんハサミ入れていきます。
本当にホントに、ささやかすぎるお洒落だけれど、こうやって少しでも元気だそう、こんな状態でも前に進もうっていうみんなに元気をもらえる場面でした。
(もんぺ教室にはいろんな人が。糸ちゃんの最初のころからのお客さん〈中村美律子〉)
「うっとこも、3人目の息子があさって出征やし。ほんでな、このもんぺ教室の話聞いてあわてて来たんやわ。ちょっと見てこれ。入学式やら卒業式やら、よう着た着物やさかい、これ着て見送っちゃりたい思うてな」
(泰蔵にいちゃん〈須賀貴匡〉の出征を控えた「絶交中」の八重子さん)
八重子「泰蔵さんが、あさって出征することになりました…せやから、見送っちゃるためのもんぺを、ここで糸ちゃんに教わってつくりたかってん。厚かましいかも、しれへんけど、一緒に見送っちゃってもらえませんでしょうか。お母さんも、勘助ちゃんも、たぶんよう見送らんと思うねん。泰蔵さん、辛いと思うんやし。いまどき、見送りはそないに派手にしたらあかんやろうけど、せめて、戦地で思い出したときに、ちょっとは明るい気持ちになれるような、ええ想い出つくっちゃりたいなと思って…。糸ちゃん、一緒に見送っちゃってもらわれへんやろか」
糸子「ええの?勘助に、あんなひどいことしてしもたのに?八重子さんに、あんなひどいこと言うてしもたのに、うちが泰蔵にいちゃん見送ってもええの?なんで八重子さんが謝るん?ごめんな、はうちや。ごめんな、八重子さん。ごめんな」
(泰蔵にいちゃんの出征を無理して見送り、お父ちゃんの体調は悪化)
(独)看病、子ども、家事、商売。どれもこれも、この先どないしたもんか。
(「令嬢世界」などの切り抜きをまとめた本が出てきた、と八重子さんがもってきて)
(独)人が、こんな洋服を着れてたころが、確かにあったのに、今ではどっか、他所の国の話のようでした。
(体調が少し戻ったお父ちゃんが温泉にいくと言い出して国民服を新しくつくり、水筒にお酒を入れてもたせた糸ちゃん。帳簿の裏表紙に「オハラ洋装店 店主 小原糸子」とお父ちゃんの字で書かれたのを見つけます…そして)
木岡のおばちゃん「あ、そや、あれ?あ、そや、おばさんいまな、温泉いってんのに、なんでや?うちいま、しゃべっちゃったが。あ『糸子を、よろしゅう頼む』て」。
(独)温泉旅行に行ったはずのお父ちゃんが、お骨になって戻ってきました。
糸子「ちゃんと祭壇組んでやんで!お金の心配なんかしてる場合ちゃうやろ。お父ちゃんの葬式やで。何があったかて、きっちり立派なもん出さな。出さんでどないすんや!」
徳大寺の娘さん「小原のおっちゃんには、うち、小さいころからべっぴんさん、べっぴんさん、て呼んでもうちゃったんです。子ども心にお世辞やわ!って思っとったかて、なんややっぱりうれしいて、おっちゃん来んの、よう楽しみにしてました」
木岡のおばちゃん「おばちゃんもあんなん初めてや。こわいことあるかいな。そん時は知らんかったけど、ふっと見たらあんたらのお父ちゃんが毎度!ってニコニコしながら入って来ただけやからなぁ。小原さんな『いやぁほんでも、奥さんにもよう世話になってるな。これからも、よろしいに頼むで。うっとこの糸子は、馬力だけのアホやさかい。』とにかく糸子を頼むで、ばっかし言うてなぁ」
(ってお葬式きっちりやったのはいいけど、町内の人たちが台所に入り、実は代金のかわりにもらっていた食料が豊富にありすぎることでヤミに手を出してることになってしまう。配給を受けにいっていなかったことも、疑惑の目を向けられる結果に…。お約束の「非国民」嫌がらせとか。
不思議なのは、木岡のおばちゃんや木之元の奥さんは、小原さんちの台所事情知らなかったのかなって…何かフォローすること言ってあげられなかったのかな…って。いつももらってたお野菜やら何やら、どうやって入手してたって思ってたのか。そのうえ昌ちゃんまで、先生はホンマにヤミやってないんですかとか……ここの一連の描写がちょっと不思議でした。)
糸子「やってへんわ!!やるかそんなもん!うちにヤミなんかでけたら、こんなアホみたいに朝から晩まで働くかいな。ヤミやらなあかんくらいやったら、あんたらなんかとっとと里に帰してるわ!なんであんたらまで食わすために、うちが罪おかさなあかんねん」
(独)世間ちゅうもんを、うちはなめてたかもしれません。うちが思うてるより、もっともっと怖いもんなんかもしれません。
(そしてちょっと前までこの世の終わりみたいに泣いてたお母ちゃんが急にいつものマイペースな人になってすいとんつくった場面にほっとして)
(独)配給を遠慮して行けへんかったんもホンマや。けど、やっぱしそんだけとちゃう。意地もあった。ウチのもんを、あの列に並ばさんことで、うちは自分を特別やて思おうとしてた。うちには、そんだけの甲斐性があるんやて、思いたかったんや」
(木之元の奥さんがきます)
奥さん「もう店開けてんけ…せや、あんな、明日、野菜の配給があるんやて。あんな……、うち、行くさかい、糸ちゃんも一緒にいこや。その、糸ちゃんとこは食べもんぎょうさんあるさかい、行かんでええかもしらんけど…おいしいで配給のもんかて。な、行かへんか」
(もう超泣きました。戦争編は連日泣きまくってたけど、たぶんこのドラマのなかで泣いたトップ3くらい。非国民て言われてる人のこと誘って、一緒に配給行こうって…。今まで地味な存在だったのにその勇気はふつうの何倍も必要なことだとわかるので、もう泣けてなけて仕方ありませんでした)
(独)疑いっちゅうもんは、いっぺんかかったら、そない簡単に晴れへんのかもしれん。ほんでもやっていける。うちを信じていけるこの人らは、お父ちゃんが遺してくれた宝物です。
(って、少し反省したところでまた敵機来襲。ミシンの供出にどう対抗するか、で、お父ちゃんのお葬式にきてくれた木岡のおっちゃんの弟のことを思い出し「カメムシ」軍服の下請けをすることになり、ミシンが守られました。すっかり援助の提案を忘れてた糸ちゃんが、優子の髪をおかっぱにしてそれに抗議した優ちゃんがあちこち走り回ってるうちに再度木岡さんの弟に遭遇、その件を思い出す巻き戻し場面で少し笑って。)
国防おばちゃん「いまこの日本で、おしゃれなんかにのぼせあがってる暇がどこにあるんですか。自分だけが戦争になんも関係ないような顔して。お宅のこのミシン、供出してもらいます。明日いただきにまいりますさかい。戦地では、兵隊さんたちが命をかけて闘うてるんです。ミシンなんて、こんなところで何の価値もないことに使われるなら、銃なり弾なりに使われたほうがよっぽどうれしいちゅうもんや」
糸子「待ってください。お客さんには、うちからよう頭下げさせてもらいますよって、お宅らはどうぞお帰りください。ええからはよ帰ってんか!!ご苦労さんでした」
昌ちゃん「どこの組のもんや…。ほんま、あんたらの姉ちゃん、どっかで修行したことあるんちゃうか。素人ちゃうで、あのドス………。そやけど、ほんまにミシン取られたら店どうなるんやろ。えらいこっちゃな」
糸子「ぐん、ぐん、軍服!つくらせてください!」
意気揚々とミシンを没収にきた国防おばちゃんら、ざんねーん!
昌ちゃん「きょうからうっとこ、軍隊さんのもんをつくることになりました。お国のためにミシンを使えて、幸せなことです。ちっこい所帯ですよって、どんだけお役にたてるかわかりませんけども、せいぜい頑張らせてもらいます」
国防おばちゃんたちの詭弁というかいまどきの言葉で言うなら「パワハラ」、酷いわ。
(独)お父ちゃん、ミシン、どないかなりそうです。お父ちゃんが教えてくれへんさかい、うち、自分でどないかしてんで…(逆まわし)。やっぱし、お父ちゃんか……
そして戦争の色はますます糸ちゃんのまわりを埋め尽くしていきます。
優子「お母ちゃん。優子はお外で、軍事教練をしてきます!い っ て ま い り ま す !」
まだ小学校1年生なのに…
(独)このごろは、もう商店街のほとんどの店がしまり、配給もどんどん減ってきました。いまや食べ物は、どないかして自分らで手に入れんならんもんです。
(戦争映画を観にいった帰り道)
糸子「直子、よう考えたらあんたなんか生まれてこのかたずっと戦争やさかい、なんもきれいなもん見たことないな」
(「アカ」が親子の目の前で捕まって)
直子「アカってなに?アカってなに?」
糸子「優子、赤に白まぜたら何色になる?(桃色)もっと足したら?(桜色)ほな、ちょっと青足したら?」
っていうこの会話も泣けた…そして、チビ直子が怪演。
【昭和19年】
(独)八重子さんが、この春からうちで働くことになりました。安岡髪結店は、結局パーマ器を供出させられて、店をしめなあかんようになったそうです。
八重子さん「そやけど、うちも困ってんやし…。太郎が、海軍に行きたいやら言い出してな。このごろ中学校が、陸士やら海兵やら、まぁそら熱心に子どもらに薦めるよってな」
糸子「かっこええて勇ましいて、兵隊さんちゅうたら、そら子どもたちにはだんじりの大工方みたいに見えるんやろな」
奈津の料亭も時勢にさからえず営業できなくなってしまう。糸子に買い取ってほしい、とあくまで高飛車な奈津だけど…借金が1万円。
糸子「1万円?借金が?あんた、1万円も借金ためてしもたんか!あ、アホか。そこをどないか知恵絞ってどうにかやりくりするのが女将の仕事やろ。あんた、何やってんねん。なんでこんななる前に手打たへんかってん。1万円、1万円て…」
まぁもんぺ教室の教材が1人2円だったこと考えたら当時の1万円ってね……。そして奈津は夜逃げからお約束の転落となっていく。
八重子「せやけど、あほや、っちゅうたらかわいそうや。お父ちゃんも早う亡くなって、旦那さんも逃げてしもて、お母ちゃんもまた、身体弱いやろ。奈津ちゃん、誰にも頼ることできんと、たった1人であの店守ってきたんやし」
そして、だんじり祭までが中止。
(独)いうたら、燃料が切れてもうたんです。あの大きいて、重い重いだんじりが走るには、ぎょうさんの男の手と足、それもしっかりご飯食べて、骨と肉のみっちりしたのが揃うてんとあかんのに…
糸子「それが、みんな戦地とっていかれて、こんな貧相なズボン下はかされたあげくに、サイパンで吹き飛ばされたりグアムで燃やされたりしてんやんな」。
(独)子どもらは、学校で人の殺し方と、自分の死に方ばっかり教えられてて、国民はいつ死体になってもええような準備ばっかりさせられて…
勘助に2度目の召集令状が。ガミガミ縫い子たちを叱る糸ちゃんを優しい目で見守る勘助。
勘助「光ちゃん、久しぶりやな。糸やんも元気そうや。光ちゃん、糸やんをよう助けちゃってな。(糸子姉ちゃんに会わずに行くのかと聞かれ)会いたいけどな、俺にはな、資格がないんや、もう。そやけどそれも、やっとしまいや」
(独白)結局、最後に会うことも喋ることもでけへんまんま、勘助の葬式行列が出たのは、そのわずかひと月後のことでした。
勘助カンスケ叫びながら走る糸ちゃんにまた泣いて、まっすぐ前を向いた玉枝おばちゃんの葬式行列のラストに涙止まらずでした。サイパンやグアムが陥落した昭和19年の秋ということはたぶんフィリピン方面に送られる途中で輸送船がやられて死んでしまったのだと思うと…
前半のゆるくてヘタレでのんびりほんわかな勘助と糸ちゃんの場面があったので余計、勘助ちゃんの死が痛かったです。それも放送、世の中が浮かれきっているクリスマスイブでしたよね…。
このドラマの特殊なつくりは大胆にどんどん登場人物が入れ替わってしまうこと。出征していった男の登場人物は誰ひとりかえらなかったですよね。勘助も同級生の平吉くんも。
(独)とんびしか飛んでなかった岸和田の空に、いかついもんが飛び始めました。昭和19年暮れ、アメリカの飛行機が何度も内地を空襲していくようになりました。
【昭和20年】
貞子「姫路の奥に、うちの山荘があるの知ってるか。おばあちゃんのお父様が、夏の避暑のために建てたもんやけどな。そこへしばらく疎開しようかと思うてな。この年になってこの家離れるのもホンマにつらいんやけどなぁ。おじいちゃんもあんな調子やろ。いざいうことになったら、怖いからな…。ま、そやから、しばらくは、姫路の小山で花でも摘んでようか、思うてな」
(独)この人らにも、またもっかい会うことができるやろか。
貞子「糸子、あんた、生き延びや。必ず、かならず、また顔見せてな」
糸ちゃんは心斎橋百貨店で洋服の制服をつくったときから新聞よく読んでたので、空襲の情報も新聞から得ています。
糸子「『特徴は焼夷弾を主体としたことで、敵は今後も重要工場施設のみでなく、市街地に猛爆を行うことも考慮する必要がある』」
光子「焼夷弾、ってどんなん?」
昌ちゃん「燃やすやつや。バラバラおちてきて、家やら建物やらどんどん火つけるんや」
(独)敵は思ったよりえげつないことしよる、ちゅうことにやっとみんなが気づいて。それから町内でも盛んに防火訓練が行われるようになりました。せやけど、ほんまにこんなんでどないかなるんやろか。
そしてついに岸和田にも空襲が…これだけ読んでて、サイレン鳴ったらみんな本当に怖かったと思います。今でいうなら緊急地震速報が鳴って怯えるのが少し似ているのかも…
糸子「逃げな。防空壕やで。防空壕いくで!」
縫い子ちゃん「先生待って下さい。トメちゃんが。よう逃げん、ちゅうんです」
トメ「イヤです。うち、よう逃げません。いやぁ怖い怖い!いやです!もううち燃やされてもええです。逃げたないんです」
ハル「うちがいといちゃら。うちが、一緒に、いといちゃる!」
トメ「先生、すみませんでした。うちも逃げます。ハイ。おばあちゃん、燃やすわけにはいきません、うっうっ」
(独)あ、そや。お父ちゃんの位牌と写真、持ってくるの忘れた!けどしゃあない。堪忍や、お父ちゃん。縁があったら、また会おうな。
(防空訓練)
国防おばちゃん「B29は130機もいてるんや。暢気に貧血なんか起こしてたら焼かれてしまう言うてるんや」
(独)せや、B29が130機いてるちゅうんに、バケツの水なんぞなんぼ撒いたところで、らちあくかいな。
そして、嫌がるおばあちゃんとお母ちゃん、子どもたちを「山中町」に疎開させ、縫い子さんたちをどうするか算段します。そして戦争も末期。
(独)警戒警報は、日増しに増えてきました。6月に入ってからは朝昼晩ひっきりなしになって…夜はろくに寝られんと、そやからっちゅうて、昼も休んでいるわけにいかん。言うてるうちに、梅雨に入ってしもて(略)ものが考えられへんようになってました。梅雨が明けたら、夏がきて、あっついお日さんの下を、毎日アメリカの飛行機が飛んでいきます。警報は最近、朝からひっきりなしで、なけなしの食べもんあっちへ運び、こっちへ運び。食べてへんし、寝てへんし。なんやもう、ものが考えられへんようになってました。
そして、勝さんが戦病死したという公報がきても涙すら出ない。もちろんお葬式は「歩く」簡易型に。
(独)とにかく食べてへんのと寝てへんのと、暑いんとうるさいんと…あっついなぁ。なんしか、ものが考えられません。言われるままに逃げて、言われるままに動いて、食べもん届ける。寝れるときに寝る。でも寝てられんと起きる。
泰蔵にいちゃんも、戦死。
(独)気持ちっちゅうんが、どっかにいってしもうたようで。けど、これはこれで楽や。悲しいっちゅうんはつらいし、つらいんは、しんどい。
神戸のお屋敷と工場も、燃える。疲れた糸ちゃんにだんじりのお囃子が聴こえてきて、幸せだったころのだんじり祭を、もう帰ってこないお父ちゃんや泰蔵にいちゃん、勘助に勝さんが浮かんできて思わずだんじりを見にいって号泣する場面も、辛かった。
長かった戦争が8月15日に終わります。昭和天皇の「玉音放送」が何いってるかよくわからなかった、っていうのはいつもの感じだったけれど、放送のあとラジオが沈黙していたっていうのは初めて知ったかも(演出か?)。
そして糸ちゃんの最初のひとことは
「さ、お昼にしようけ」。
いやね、朝BSプレミアムの7時半の回を観てたのですが、ホント泣いてしまって困りました。下手すると会社行く準備できてから2回目地上波で観てまた泣いてたりしたし。
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- [2012/03/17 19:52]
- 連続テレビ小説「カーネーション」 |
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まとめtyaiました【語録戦中編 カーネーション〈9~13週〉】
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